数学II / 微分の考え
3本の接線が引ける点の存在範囲
問題
点 から曲線 に相異なる3本の接線が引けるような点 の存在範囲を求め、図示せよ。
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「接線を引く」は接点 を1つ決めること。 を通る条件を の方程式にして、その実数解の個数が接線の本数だと気づけるか。3実解の条件は極大・極小の符号。
解答・解説
方針
接点を とおくと接線は 。これが を通る条件を の3次方程式にし、相異なる3実解をもつ条件を極値の積で表す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「P から接線を引く」という操作は、じつは「接点を1つ選ぶ」ことと同じだ。そこで接点の 座標 を主役にする。
の での接線を書き、それが を通るという式を作ると、 の3次方程式になる。接線の本数=この方程式の相異なる実数解の個数。「3本引ける」は「 の3次方程式が3実解をもつ」に翻訳された。
3次方程式の3実解の条件は、極大値と極小値が異符号(山が軸の上、谷が下)。これで の不等式が出る。
① 接線を接点 で表す。 上の点 での接線は、 より
② を通る条件。 代入して
この の3次方程式の相異なる実数解の個数が、引ける接線の本数。
③ 3実解の条件。 とおくと 。極値は と でとり、値は 、。相異なる3実解 ⟺ 極大値と極小値が異符号。
のとき極値をもたない()ので不適。よって求める範囲は
これは曲線 と直線 ( 軸)ではさまれた部分(境界を除く)。
まとめ:接線の本数を「接点 の方程式の解の個数」に翻訳するのが最初の急所。あとは3次方程式の3実解条件=極値の積が負、で領域が出る。「本数」を「解の個数」に読み替える発想が要。
発展 — 一歩先へ。 境界が「曲線」と「変曲点の接線」になるのは に限らない。どんな3次曲線でも、3本引ける領域はこの2本の線ではさまれる(たとえば なら境界は と、変曲点での接線 )。変曲点の接線は「接点で曲線を横切る」唯一の接線で、本数の地図の分水嶺になっている。
、すなわち曲線 と 軸ではさまれた部分(境界を除く)
別解
本数の地図を作る(平面全体を数え上げる)。 方程式 の実数解の個数を、点 の場所ごとに数えると、答えの意味がはっきり見える。
極値は と (本解と同じ)。その積の符号で分類する:
- :3実解 → 3本(求める領域)
- :1実解 → 1本
- または (原点を除く):重解を含み2実解 → 2本
- 原点 : の3重解 → 1本
境界の正体も読み取れる。 は「P が曲線の上にある」こと。 は「P が変曲点 における接線( 軸)の上にある」ことだ。つまり3本引ける領域は、曲線自身と変曲点の接線にはさまれている。
3本の領域だけ出して終えず、平面全体を1本・2本・3本で塗り分けてみる。接線の本数という量の地形が一望でき、境界のそれぞれに図形的な意味があると分かる。
ポイント
- 接線の本数= の実数解の個数。
- 3実解 ⟺ 極値の積 。
- 曲線 と 軸にはさまれた領域。
よくある間違い
- 3実解の条件を2次の癖で「判別式 」と書こうとして手が止まる。3次では極値の積の符号で言うのが定石。
- (極値をもたない場合)の検分を落とす。 で単調になり、3実解は不可能。
- 境界を含めて にする。境界の上では接線が重なり、2本(原点では1本)に減る。