数学II / 微分の考え
傾きが与えられた接点
問題
曲線 の接線のうち、傾きが であるものの接点の座標を求めよ。
ヒントを見る
接線の傾きは微分係数。『傾きが 』を導関数についての方程式として書けば、接点の が求まる。
解答・解説
方針
接線の傾きは 。これが になる を求めれば、接点の 座標が分かる。 座標は曲線の式に代入する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 これまでは「接点 → 傾き」の向きだった。今回は逆向きだ。
「傾きが になるのは、どの点か?」
接線の傾きは、微分係数 — つまり
この方程式を解けばよい。
接点の 座標が と分かった。
座標も忘れずに。 接点は曲線上にあるので
「傾きから接点を逆算する」 — という方程式を解くだけである。
① 傾きの条件を式にする。 接線の傾きは 。これが なので
② 座標を求める。 に を代入。
よって接点は 。
まとめ:「傾きが決まっている接線」は、 が指定の傾きに等しいという方程式を解いて接点の を出す。 は元の曲線に代入して求める。
発展 — 一歩先へ。 「 を解いて接点を求める」— この発想を、曲線の外の点から接線を引く問題に応用しよう。入試の定番だ。
問題: 点 から、放物線 に接線を引け。
注意: 点 は、放物線の上にない()。接点は別の場所にある。
手順: 接点を と"文字で置く"。
その点での接線は
この接線が、点 を通る条件。
接点が つ見つかった! と 。
接線も 本。
曲線の外の点からは、接線が 本引ける — 放物線の場合はそうだ。
この手法の核心は「接点を文字で置く」こと。
接点が分かっていないのだから、 と置いて、条件から を決める。
同じ手法が、 次関数でも使える。 そして 次関数では、外の点から引ける接線の本数が 本、 本、 本と変わる(点の位置による)— これが入試の頻出テーマになる。
「接線の本数」を数える問題は、 についての方程式が「何個の実数解を持つか」の問題に翻訳される。
そして実数解の個数は、グラフの交点として数えられる — 問題が、また別の問題に翻訳された。
「翻訳の連鎖」が、難問を解く道筋を作る。
つ つの翻訳は易しい。 しかし、それを連ねると、最初は手も足も出なかった問題が解ける。
数学の力とは、この"翻訳の連鎖"を組み立てる力なのである。
別解
判別式ルートでも解ける。 そして、 つのルートを比べると、「傾きが与えられた接線」の構造が見えてくる。
判別式ルート。
傾き の直線を、 と置く( は未知)。
この直線が に接する条件を求める。
連立して、 次方程式を作る。
接する 重解 判別式 。
接線は 。
接点(重解)は
微分ルートと同じ答え。
ついでに、接線の方程式も出た()。微分ルートでも、接点が分かれば
同じ直線である。
さて、この問題の"構造"を考えてみよう。
放物線 の接線の傾きは、。
を動かすと、傾きも動く。
| 接点の | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 接線の傾き |
すべての実数の傾きが、ちょうど 回ずつ現れる。
が、 の 次式( 対 の関数)だからだ。
では、 次関数ではどうか。
傾き の接線は?
接点が つある! と — 同じ傾きの接線が 本引ける(平行な 本の接線)。
そして、傾き の接線は?
実数解なし — 傾きが負の接線は、 本も存在しない!( は常に増加だから、当然だ。)
の形が、「どんな傾きの接線が、何本あるか」を決めている。
を「傾きの分布図」として読む — この視点が、接線の本数を数える問題(入試頻出)の鍵になる。
ポイント
- 接線の傾き 。傾きの条件は 値 の方程式。
- 接点の は元の曲線に代入。
よくある間違い
- 座標だけ求めて、 座標を出し忘れる(接点は座標で答える)
- (関数の値が4)と誤って立式する(傾きが4なので )
- 接点の 座標を、接線の式に代入して求めようとして混乱する(接点は曲線上にあるので )