数学II / 微分の考え

閉区間での最大・最小

★ 基礎最大最小

問題

における関数 の最大値と最小値を求めよ。

ヒントを見る

区間つきの最大・最小は、『区間内にある極値の候補』と『両端』をすべて洗い出して値をくらべる。候補が区間の外にあるときは捨てる。

解答・解説

方針

閉区間の最大最小は「区間内の極値の候補」と「区間の両端」の値を全部くらべる。 の解のうち区間に入るものと、端点 を調べる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「閉区間での最大・最小」— 極値だけでは足りない。 も候補である。

なぜか。 区間の端では、グラフが途中で"切られている"。切り口が、最大値や最小値になることがある。

候補は 種類。

  • 区間内の極値( となる点)
  • 左端
  • 右端

より、 となるのは

このうち に入るのは、 だけ( は区間外!)。

つの候補の値を、すべて計算する。

最大値は (、右端)、最小値は (、極小)。

最大値が"端点"で実現した — 極値だけ見ていたら、見逃していた。

公式閉区間の最大最小 = (区間内の の点)と(両端)の値をすべてくらべる

の候補を出す。 。区間 に入るのは だけ。

② 候補と両端の値をくらべる。

③ 最大・最小を選ぶ。

xyO最大(2,2)最小(1,-2)
y=x^3-3x(0≦x≦2):最大(2,2)・最小(1,-2)

まとめ:閉区間では、極値だけでなく両端も候補。区間に入る の点と端点の値を全部くらべて、一番大きい・小さいを選ぶ。範囲外の は使わない。

発展 — 一歩先へ。 「閉区間なら、最大値と最小値が必ず存在する」— これは当たり前ではない。定理である。

最大値・最小値の定理(ワイエルシュトラスの定理)

つの条件が必要だ。

条件1: 区間が"閉じている"( の形で、端点を含む)。

開区間だと、崩れる。 を、開区間 で考えると

  • 最大値はあるか? に近づければ値は に近づくが、 は区間に含まれない最大値は存在しない!( も、もっと大きい値がある。)

「端が含まれない」だけで、最大値が消える。

条件2: 関数が"連続"である。

不連続だと、崩れる。

に近づけると値は に近づくが、 では突然 に落ちる最大値は存在しない。

つの条件が揃って、はじめて「必ず存在する」と言える。

この定理が、なぜ重要なのか。

「最大値を求めよ」という問題は、「最大値が存在する」ことを前提にしている。 その前提を保証しているのが、この定理だ。

存在が保証されているからこそ、「候補を全部調べれば、その中に必ず答えがある」と言える。

もし存在が保証されていなければ、「候補を全部調べたが、どれも最大値ではない」ということが起こりうる — 実際、開区間ではそうなる。

数学では、「求める」前に「存在する」ことを確かめる。

方程式に解があるか(中間値の定理)、極限が存在するか、最大値が存在するか存在定理は、探索の正当性を支える土台なのである。

「閉区間」という指定は、単なる問題設定ではない。それは「答えが必ずある」という保証書なのだ。

最大値 ()、最小値 ()

別解

増減表を書いて、グラフを"見る"。 そうすれば、なぜ端点が最大になるのかが目で分かる。そして「極値と最大値は別物」という、決定的な区別を身につけよう。

区間 での増減表。

減少 ↓ 増加 ↑

グラフの動きを追う。

  • からスタート()
  • 下り坂()を降りていく
  • で谷底()— 極小値
  • 上り坂()を上っていく
  • で終了()— ここで最も高い!

「谷を降りて、また上って、右端で出発点より高くなった」 — これがグラフの姿だ。

最大値 は、右端 で実現している。

ここが決定的に重要な点だ。

「極大」とは、"その近所で"いちばん高いこと(局所的)。 「最大」とは、"区間全体で"いちばん高いこと(大域的)。

この関数には、区間 内に極大値が存在しない( の極大は区間外)。それでも最大値はある — 端点で。

逆のことも起こりうる。 極大値があっても、それが最大値とは限らない。

例: 同じ関数を、区間 で考えると

最大値は (、右端)— 極大値 より、はるかに大きい!

「極大値は、全体の最大値ではない」 — この区別を、絶対に忘れてはいけない。

山登りに例えると。

「極大」は、近くの丘の頂上。周りを見渡せば、そこが一番高い。 「最大」は、山脈全体の最高峰。

丘の上に立っている人は、「ここが一番高い!」と思うかもしれない。しかし、遠くにもっと高い山があるかもしれない。

この「局所と大域の違い」は、最適化の最大の難問である。

AI の学習(勾配降下法)は、「傾きを下る」ことで最小値を探す。 しかし局所的な谷にはまると、そこから抜け出せない(局所最適解の罠)。本当の最小値は、もっと遠くにあるかもしれないのに。

この罠を避けるために、様々な工夫(乱数を混ぜる、複数の初期値から試す)が開発されている。

閉区間の最大最小問題で「端点も調べる」という手続き。 それは、「局所だけを見て、大域を見誤るな」という戒めなのである。

ポイント

  • 候補は「区間内の 」+「両端」。
  • 区間の外にある極値は使わない。

よくある間違い

  • 端点()の値を調べ忘れる(最大値は端点でとることが多い)
  • 区間外の極値()を候補に入れてしまう
  • 極大値がないから最大値もない、と思ってしまう(閉区間なら必ず最大値・最小値が存在する)