数学II / 微分の考え

微分係数(定義)

★ 基礎微分係数極限

問題

関数 について、微分係数 を定義にしたがって求めよ。

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『定義にしたがって』が指示。極限の式を書き、分子を展開すると全部の項に が入った形になる — 約分してから に近づける。

解答・解説

方針

微分係数は平均変化率の極限。 を計算する。分子を展開すると が約分できて、極限が求まる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 微分係数の定義は、「区間を限りなく狭めた平均変化率」だ。

は「 からのズレ」。 これを に近づける。

計算する。

分子を計算する。

で割る。

ここが急所。 で約分できた としても にならない。

「約分してから、 — この順序が命である。

公式微分係数

① 分子を計算する。

で割って極限をとる。

微分係数 。これは点 での接線の傾き。

まとめ:微分係数は平均変化率の極限。分子を展開すると必ず がくくり出せて約分できる。約分してから とするのが手順だ。

発展 — 一歩先へ。 微分の定義に現れる という不定形は、 世紀の数学者たちを悩ませ続けた。

ニュートンとライプニッツは、 年代に微分法を発明した。 しかし、その基礎は危うかった。

当時の議論はこうだ。 でない微小な量とする。 を計算した後で、 とみなす。」

哲学者バークリーは、これを痛烈に批判した( 年)。

なのか、 でないのか。 でないなら約分できるが、最後に とみなすのは詐欺だ。これは"死んだ量の亡霊"ではないか。」

この批判は、正当だった。 「無限小」という曖昧な概念に頼っていたのだ。

決着がついたのは、 年後。 コーシーとワイエルシュトラスが、「極限」を厳密に定義した(- 論法)。

にする」のではない。「 に"いくらでも近づけたとき"、値が にいくらでも近くなる」と言い換えた。

は決して にならない( という条件がある)。だから約分は正当だ。 そして「近づく先」だけを問題にする — 亡霊は消えた。

微分積分は、 年かけて、ようやく厳密な基礎を得た。

数学は、しばしば「使えるが、なぜ使えるか分からない」状態から始まる。 厳密化は後からついてくる — しかし、その厳密化こそが、次の飛躍を可能にするのだ。

あなたが今、 で約分している。 その操作の正当性のために、 年の議論があった。

別解

導関数の公式を使えば、 秒で終わる。 しかし、それでも定義を学ぶ意味がある — その理由を明らかにしよう。

公式ルート。

行で終わった。 定義の計算(展開、約分、極限)が、公式では ステップに圧縮されている。

では、なぜわざわざ定義から計算するのか。

理由1: 公式は、定義から作られる。

の導関数を、定義から導いてみよう。

公式 が出てきた。 公式は天から降ってきたのではなく、定義から作られたのだ。

理由2: 公式が使えない関数に出会ったとき、定義に戻るしかない。

数IIIで学ぶ これらもすべて定義から証明される。

理由3: という不定形の意味が分かる。

とすると、分子も分母も に近づく。

は、そのままでは意味を持たない(何にでもなりうる)。しかし、"どう に近づくか"の速さの比なら、意味がある。

約分すると、正体が見える。 分子は「 次の速さ」で に近づき、分母も同じ速さ — だから比は有限の値に収束する。

に近づく つの量の比」 — これが微分の本質だ。 の形になるからこそ、意味がある。

極限の値が、割り切れた形()の での値になるのは、 で連続だからである。約分してしまえば、あとは代入するだけでよい。

数値で確かめよう。

に収束していく極限の意味が、数値で見える。

負の側から近づけても同じ。 なら やはり に近づく。

「左右どちらから近づいても同じ値になる」ことが、微分可能であることの条件である。 が原点で微分できないのは、左からは 、右からは と、食い違うからだった。

定義の計算は、遠回りに見えて、微分のすべてを含んでいる。

ポイント

  • は平均変化率 の極限。
  • 分子から を約分してから極限をとる。

よくある間違い

  • の展開で の項を落とす
  • で約分する前に としてしまい、 で止まる
  • と誤って分解する