数学I / 図形と計量
内接円の半径
問題
3辺の長さが の三角形について、次の問いに答えよ。
(1) この三角形の面積 を求めよ。
(2) この三角形の内接円の半径 を求めよ。
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『面積を2通りに表す』のがカギ。1つは普通に求めた面積。もう1つは、内心と3頂点を結んで三角形を3枚に切ったときの和 — どの小三角形も高さが になることに気づけるか。2つをイコールで結ぼう。
解答・解説
方針
内接円の半径は、面積を2通りに表すと求まる。
1つ目は、普通に計算した面積 。2つ目は、内心と3頂点を結んで三角形を3枚に切り分けた和だ。どの小三角形も高さが になるので、 という式になる。
この2つをイコールで結べば が出る。『同じ量を2通りに表して方程式を作る』。図形問題でよく使う手の、最初の例だ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 辺が — なので、これは直角三角形だ。まずこれに気づく。
(1) 直角をはさむ 辺が底辺と高さになるので、面積は素直に出る。
(2) 内接円の半径 は、面積を 通りに表すと出る。
なぜこうなるか。内心 と各頂点を結ぶと、三角形が つの小三角形に分かれる。どれも底辺が三角形の辺、高さが (内接円は各辺に接するから、中心から辺までの距離が )。その面積を足すだけだ。
「面積を 通りで表して等式にする」 — これは図形分野の強力な常套手段である。
(1) なので、三平方の定理の逆から、これは長さ の2辺が直角をはさむ直角三角形だ。よって
を見た瞬間に直角三角形を疑う。有名な比は覚えておくと初動が速い。
(2) 内接円の半径を とする。内心(内接円の中心)と3つの頂点を結ぶと、三角形は3つの小三角形に分かれる。ここが見せ場だ。それぞれの小三角形は、元の三角形の各辺を底辺とし、高さがすべて (内接円は各辺に垂直に接しているから)。だから面積の和は
同じ面積を、(1)では直接、(2)では 経由で表した。2つをイコールで結ぶ。(1)より なので
まとめ:公式 は、この『3分割』の絵ごと覚えるとよい。導き方がわかれば、 を落とすこともない。
発展 — 一歩先へ。 ( は周の半分)という関係は、内接円をもつ図形なら三角形以外でも成り立つ。 角形に内接円があるなら、中心と各頂点を結んで 個の三角形に分ければ、同じ議論で
となる。円そのものを「辺が無限に多い多角形」と見れば、周 を代入して — 円の面積公式まで同じ形で説明できる。
なお の直角三角形は、外接円の半径も簡単だ。直角三角形の斜辺は外接円の直径(タレスの定理)なので 。正弦定理 に ()を入れても と同じ結果になる。内接円は面積から、外接円は正弦定理から — つの円の求め方をセットで覚えておきたい。
(1) (2)
別解
直角三角形に限れば、面積を使わずに が出る。接線の長さを数えるだけの、絵で分かるルートだ。
直角の頂点を ()、、、 とする。内接円が 辺と接する点を考える。
手順1: 直角のかどは正方形になる。 内心 から辺 、 に下ろした垂線の長さはどちらも 。 だから、・接点 つ・ の 点は、 辺 の正方形をつくる。
つまり、頂点 から つの接点までの距離は、どちらも である。
手順2: 接線の長さは等しい。 円外の 点から引いた 本の接線の長さは等しい( から引いた 本、 から引いた 本、それぞれ同じ長さ)。 からの接線の長さを 、 からの接線の長さを とすると、 辺は接点で次のように分割される。
手順3: 足して引く。 上の 式で、前の 式を足すと
左辺は だから
面積の答えと一致した。
— 直角三角形専用だが、 辺を見た瞬間に暗算で が出る。、半分で 。
一般の三角形では、面積を使う ( は周の半分)が万能だ。今回は 、 で ✓ — つの道が同じ答えに着くことを確かめておきたい。
ポイント
- — 内心で3分割すると導ける。丸暗記でなく導出ごと覚える
- を見たら直角三角形を疑う(三平方の定理の逆)
- 面積を2通りに表して未知数を求めるのは、図形問題の頻出テクニック
よくある間違い
- の を忘れる(周の長さそのものを掛けてしまう)
- 内接円と外接円を取りちがえる(外接円の半径は正弦定理から。直角三角形なら斜辺の半分)
- が直角三角形だと気づかず、面積の計算で行き詰まる