数学I / 図形と計量

余弦定理(2辺と間の角から残りの辺)

★ 基礎余弦定理

問題

において、 であるとき、辺 の長さを求めよ。

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手がかりは、わかっている角 が『2辺にはさまれている』こと。はさむ2辺とその角から、向かいの辺 を直接求められる関係が1つある。公式を書き出す前に、図で「はさむ角はどれ」「その向かいの辺はどれ」を指さして確かめよう。

解答・解説

方針

今度は『2辺とその間の角』だ。この組み合わせは正弦定理では手が出ない(角と対辺のペアが作れないから)。ここで使うのが余弦定理だ。

。言葉にすると『求めたい辺の2乗 三平方の定理 補正項』。 に入るのははさまれている角、出てくるのはその向かいの辺、という対応を押さえる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 与えられたのは 辺()と、そのあいだの角()

このとき使う道具は つに決まる — 余弦定理だ。

辺とはさむ角 → 向かいの辺」がこの定理の役割である。正弦定理は「辺と対角のペア」が要るが、ここには対角のペアが 組もない。だから正弦定理では動けない。

どちらの定理を使うかは、与えられた情報の形で決まる。これが三角形の計量の入り口だ。

60°ABC85BC = 7
AB = 8、AC = 5、∠A = 60° から BC を求める
公式余弦定理 ( は角 の対辺)

求めたい辺 、はさむ2辺を 、間の角を とみて当てはめる。

値を入れる。

なので

最後の平方根で と迷わなくていい。辺の長さは正、の一言で片づく。

検算のコツ。余弦定理は『三平方の定理の補正版』だ。 なら補正項 が負に働くので、 は三平方の値 より小さくなるはず。確かに だ。角が ならちょうど三平方、鈍角なら三平方より大きくなる。この感覚は符号ミスの検出器として役立つ。

発展 — 一歩先へ。 から という整数が出たのは偶然ではない。 のおかげで となり、

という整数だけの式になるからだ。()を含む三角形は、こうして整数の辺の組が作りやすい。 は入試でもよく登場する「 の三角形」である。

さらに一歩。ベクトルを学ぶと、余弦定理は

の言い換えだと分かる()。三平方 → 座標 → ベクトルと表現を変えながら、同じ つの事実が姿を変えて現れる。

別解

余弦定理を「覚えた公式」でなく、座標に置いて三平方の定理で押し切る方法を見ておこう。公式を忘れても解けるし、余弦定理の正体も見えてくる。

頂点 を原点に置き、辺 軸に重ねる。

  • ( 軸方向に)
  • から距離 軸との角 の位置。つまり

あとは 点間の距離(三平方の定理)を計算するだけだ。

余弦定理と同じ答えになった。

ここで公式の正体が見える。 一般に と置くと

( を使った。)余弦定理は、座標に置いた三平方の定理そのものだったのだ。

なら で補正項が消え、 — ただの三平方の定理に戻る。 は「直角からのズレの補正」。角が鋭角なら で対辺は短くなり、鈍角なら で対辺は長くなる — 図の直感と一致する。

ポイント

  • 『2辺と間の角』から残りの辺を求めるのは余弦定理の基本形
  • に入る角は、求めたい辺の『向かいの角』
  • 最後に から正の平方根を選ぶ

よくある間違い

  • の項の符号を間違えて とする
  • はさむ角ではない角(対角)に余弦定理を当てはめる
  • で止まり、平方根をとって とするのを忘れる