数学I / 図形と計量

鈍角の三角比(拡張された定義)

★ 基礎三角比の拡張

問題

次の値を求めよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

などは『 から引く』と鋭角に直せる。符号のカギは単位半円のどこに点があるか — 左上にくる鈍角では、 座標()と が負、 座標()は正。図で確かめてから公式を使おう。

解答・解説

方針

の三角比を考える。でも直角三角形には の角は入らない。だから定義を広げる必要がある。

舞台を半径 の半円に移す。角 の位置にある点の座標を使って、 座標、 座標、と決め直す。

計算は の公式で鋭角に直すのが速い。ただし符号の出どころは座標だ。左上の点は 座標が負。だから が負になる。公式と図をセットで持っておきたい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 鈍角の三角比は、補角の公式で鋭角に翻訳する。

だけ符号がそのまま、 はマイナスが付く — ここが急所だ。

(1) なので (正のまま)。

(2) なので (マイナスが付く)。

Oxy1−1120°135°150°
単位半円上の 120°・135°・150°(x 座標が cos、y 座標が sin)
公式

の公式で、鋭角の三角比に直して求める。

(1) なので

(2) なので

(3) なので

公式だけでなく、符号を図で確かめておく。(鈍角)では、半円上の点は左上にある。 座標が負だから 座標は正だから

まとめ:『鈍角で負になるのは は正のまま』。この符号の地図が頭にあれば、マイナスのつけ場所をまちがえても自分で気づける。

発展 — 一歩先へ。 なぜ三角比を鈍角まで拡張するのか — 三角形の内角には鈍角がありうるからだ。鈍角三角形で余弦定理や正弦定理を使うには、 のような値が必要になる。定義を「直角三角形の辺の比」から「単位円の座標」へ広げたことで、 から のすべての角が扱えるようになった。

数IIではさらに広げて、 を超える角や負の角も扱う(そこでは「三角関数」と呼ばれる)。定義を広げても、既に知っている値は変わらない — 拡張は、古い知識を壊さずに新しい範囲を足す作業なのだ。数の世界を負・分数・無理数・複素数と広げてきたのと同じ精神である。

(1) (2) (3)

別解

符号の規則を丸暗記せず、単位円で毎回導けるようにしよう。

半径 の円で、 軸から角 だけ回った点 をとる。このとき

これが三角比の拡張された定義だ。あとは座標の符号を見るだけ。

の点は、円の左上(第 象限)にいる。

  • 座標(高さ)は ✓ 値は の点と同じ高さ()
  • 座標(横)は

から までは、点は円の上半分にいる — だから 座標()は常に 以上。「 にマイナスを付ける」という誤りは、この一言で防げる。

一方 座標()は、 を境に正から負へ変わる。 は、 が正・ が負の鈍角では必ず負になる。

単位円の絵 枚で、 つの公式の符号がすべて説明できる — 暗記でなく、絵を描いて確かめる習慣を持ちたい。この単位円の見方は、数IIの三角関数でそのまま主役になる。

ポイント

  • 鈍角の三角比は の公式で鋭角に直す
  • 鈍角では 。符号を先に判断してミスを防ぐ
  • 定義の土台は単位半円上の点の座標()

よくある間違い

  • にも負号をつけてしまう( で常に 以上)
  • の対応を と取りちがえる
  • の有理化()を忘れる