数学I / 図形と計量

三角比の相互関係(sin から cos・tan)

★ 基礎相互関係

問題

は鋭角とする。 のとき、 の値を求めよ。

ヒントを見る

3つの三角比は1本の関係式(2乗の和が )でつながっている。 がわかれば が引き出せる。ただし2乗から戻すとき符号の分かれ道がある — 『鋭角』の一言がそれを決めることに注目。

解答・解説

方針

の値だけから、 を出す。三角形の絵がなくてもできる。

カギは相互関係 。この式が3つの値をつないでいる。 がわかれば が出て、 が出れば も出る。

ただし1か所だけ注意。2乗から戻すとき、 かを選ぶ必要がある。それを決めるのが『 は鋭角』という条件だ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 使う道具は相互関係

を代入すると 、よって

ここで符号を決める は鋭角(問題文にある)なので 、だから

のまま答えるのが最頻ミス。角の範囲を必ず確認して符号を確定する — これが三角比の計算の作法である。

公式三角比の相互関係

まず 相互関係 について解く。

ここで の2択が出る。2乗の情報だけでは符号が決まらないからだ。決め手は『 は鋭角』。鋭角なら なので

次に に入れる。

この答えは、辺が の直角三角形を思いうかべると確かめられる。 は、まさにこの三角形の話だ。

θ435
sin θ = 3/5 となる直角三角形(3 : 4 : 5)

発展 — 一歩先へ。 は、三平方の定理そのものだ。斜辺 の直角三角形を描けば、対辺が 、隣辺が 平方で 。「相互関係」という名前だが、中身は中学の定理である。

この式は角度が何であれ成り立つ( でも、鈍角でも、数IIで学ぶ 超でも)。単位円()の上の点が だから、円の方程式がそのまま相互関係になっている — 三角比の理論は、単位円の幾何学である。

別解

計算せず、直角三角形を描いて三平方で解くこともできる — こちらは符号の迷いが原理的に起きない。

とは「対辺 、斜辺 」の直角三角形があるということ( は鋭角なので、実際にそういう三角形が描ける)。

残りの隣辺は三平方の定理で

の三角形だ。 辺が揃えば、定義から直接読める。

辺の長さは正なので、符号の問題が発生しない — これがこの方法の最大の利点だ。 を書いて「鋭角だから正」と論じる手間が省ける。

ただし鈍角()では、直角三角形が描けないので相互関係の式で処理する必要がある(そのとき は負)。

  • 鋭角なら三角形を描く(速い・確実)
  • 鈍角を含むなら相互関係 符号の吟味(汎用)

つを使い分けられると、三角比の計算が一段速くなる。 と分数の割り算で出るが、三角形なら で一瞬だ。

ポイント

  • が相互関係の基本
  • 2乗から戻すときは符号の判断が必要。『鋭角』なら
  • 有名な比( など)の直角三角形を思いうかべると検算になる

よくある間違い

  • のまま符号を決めずに答える
  • の分数の割り算で逆数を掛け忘れる
  • と誤解して計算する()