数学I / 図形と計量
角の二等分線と中線の長さ
問題
において、、、 である。
(1) 辺 の長さを求めよ。
(2) の二等分線と辺 の交点を とするとき、 の長さを求めよ。
(3) 辺 の中点を とするとき、 の長さを求めよ。
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1つの三角形に二等分線と中線が同居。得意な道具が違う — 二等分線は面積分割、中線は共有する角を経由して2段構え。2つの三角形が『何を共有しているか』に注目。
解答・解説
方針
1つの三角形の中に、角の二等分線 と中線 という2種類の線分が同居する問題だ。それぞれに合う道具がちがう。ここがポイントだ。
二等分線は『面積の分割』()で1次方程式に持ちこむのが速い。中線は『余弦定理2回』。まず で を求め、それを で再利用する。
角 が2つの三角形に共有されていることが、この2段構えを可能にしている。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 二等分線 と中線 が同居している。だが使う道具は別だ。
最初にそう仕分けるのが発想の核になる。
二等分線は「面積の分割」で攻める。中線は「 で余弦定理」だ。その は元の三角形から先に求めておく。
線分の種類ごとに定跡ルートを割り当ててから、順に処理する。
(1) 余弦定理より
よって だ。 の負号と、その前の の負号が打ち消し合って足し算になる。鈍角の余弦定理では2乗の和より大きくなる()ことを検算代わりにするとよい。
(2) は を二等分するので だ。面積の関係 より
なので
(3) 中線 には面積の関係が効かない( は角を二等分しないので が共通にならない)。代わりに、角 を経由する。まず で を求める。
この角 は、小さい三角形 の角でもある。ここが乗りかえポイントだ。 は の中点なので 。 で余弦定理より
どうしが約分されてきれいに消える。よって だ。
(検算: 中線定理 に代入すると となり、確かに成り立つ。)
振り返り。 『二等分線なら面積分割、中線なら余弦定理2回(共有角を経由)』という道具の対応が今回の収穫だ。どちらの解法も、カギは2つの三角形が何を共有しているかに注目すること。二等分線では等しい角()と共通の 、中線では共通の角 。図形問題で複数の三角形が現れたら、まず共有物を探す癖をつけたい。
発展 — 一歩先へ。 から辺 上の点へ引いた線分(チェバ線と呼ぶ)の長さには、 つの万能公式がある。スチュワートの定理だ。
を点 が 、 に分けるとき、線分 について が成り立つ(、)。
中点なら を入れると中線定理に、二等分線なら を入れると二等分線の長さの公式になる。今回の中線 も二等分線 も、じつは同じ一本の定理の特別な場合だったわけだ。線分の種類ごとに別々の道具を使ったが、上から見ると一つの式に収まっている。
(1) (2) (3)
別解
別解 — 座標を置いて つとも距離計算で片づけるルート(得意な人向けの視点)。 頂点 を原点、辺 を 軸に置く。
、。、 だから 。
まず 。
は二等分線と の交点。二等分線は対辺を隣り合う辺の比に分けるので 、よって
中点は で、。面積分割と を使い分ける本解と、 つとも同じ値になる。
ポイント
- 角の二等分線の長さは「面積の和」で1次方程式に持ち込むのが最速
- 中線の長さは「 を求めてから小さい三角形で余弦定理」の2段構え
- 中線定理 は検算に便利
よくある間違い
- の負号を落とし、 として辺の長さを誤る。
- 中線 も二等分線と同じ面積分割で出そうとするが、 は角を分けないので が共通にならず行き詰まる。
- (3) で を勝手に直角とみなし、中線を垂線と取り違える。