数学I / 図形と計量

円に内接する四角形の角と面積

★★★ 応用円に内接する四角形余弦定理面積

問題

円に内接する四角形 において、 である。

(1) とおくとき、 の値を求めよ。

(2) 四角形 の面積 を求めよ。

ヒントを見る

標準で見た型の完成形。対角線で三角形2つに割り、同じ対角線を2通りに表す。 は補角で符号が反転、 は変わらない — この非対称が、(1)で方程式を、(2)で楽な面積計算を生む。

解答・解説

方針

円に内接する四角形。標準問題で扱った型の完成版だ。方針は同じで、対角線 を引いて に分け、 を2通りに表して等式を作る。

円に内接する条件から 、よって となり、未知数は 1つ。面積では が効いて、2つの三角形の が共通になる。

は反転し は変わらない。この補角の公式の非対称を、両方の場面で使い分ける。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 標準問題と同じ骨組みで攻める。

対角線で割って 通りに表し、内接条件で が符号違いになることを使う。

完成版では面積も聞かれる。だが つの三角形の面積の和は、同じ でまとめられる。

骨組みを再利用して部品を増やす、という構えだ。

A180°−AABCD1234BD
円に内接する四角形(AB = 1、BC = 2、CD = 3、DA = 4)
定理円に内接する四角形は、向かい合う角の和が
公式余弦定理

(1) 円に内接する四角形の対角の和は なので だ。

で余弦定理より

では、 より

。マイナス同士の打ち消しで符号が変わるこの箇所が、この型で最も間違えやすい。両者は同じ対角線の2乗なので等しいとおけて

がきれいな角(60°など)にならないが、それでいい。続きの計算は の値のまま進められる。

(2) 面積公式に必要なのは なので、相互関係で乗りかえる。 より なので

四角形を対角線 で分割する。ここで とちがって は補角で値が変わらないので、2つの三角形の面積が同じ でくくれる。

よって

振り返り。 この型の設計を一段高いところから眺めると、すべてが補角の公式の非対称に乗っている。(反転する)から の2式が異なる式になって方程式が立ち、(変わらない)から面積の2項が同じ でまとまる。『円に内接する四角形を見たら、対角線 + 補角の公式』。型として頭に入れておけば、入試でも初動が迷わない。

発展 — 一歩先へ。 ふつうの四角形は、 辺の長さを決めてもまだ形が定まらない。関節のようにぐにゃぐにゃ動き、面積も変わる。

ところが「円に内接する」という条件を一つ足すと、向かい合う角の和が に固定され、形がただ一つに決まる。三角形が 辺で決まる(合同)のと同じことが、四角形では「 円に内接」で起こる。本解で が一つの値に定まったのは、この一意性の現れだ。

さらに強いことも言える。 辺の長さを固定したとき、面積が最大になるのは円に内接する形のときだ。だから を辺にもつ四角形の面積は、どう変形しても を超えない。

(1) (2)

別解

別解 — ブラーマグプタの公式で面積を直接出すルート(得意な人向けの高い視点)。 円に内接する四角形の面積には、 辺だけで書ける専用公式がある。

辺を とすると、面積は 。三角形のヘロンの公式の、四角形版だ。

いま だから

対角線を引かなくても面積が出た。この公式は、じつは本解の「対角線 つに分け、内接条件で を消す」計算を一般化して整えたもの。内部には が織り込まれている。だから本解と同じ になる。

ポイント

  • 円に内接する四角形は「対角の和 」で が符号反転、 は共通
  • 対角線を2通りの余弦定理で表す → の1次方程式
  • 面積の和は でくくると計算が一気に簡単になる

よくある間違い

  • の符号を落とし、 として方程式を誤る。
  • 面積を出すのに対角線 の長さがいると思い込み、 の計算に入り込んで遠回りする。
  • (補角で不変)に気づかず、 つの三角形の を別物として扱う。