数学I / 図形と計量

sinθ+cosθ の値から各三角比を決定

★★★ 応用相互関係対称式

問題

であるとき、次の値を求めよ。

(1)

(2)

(3)

ヒントを見る

和 → 積 → 差 → 個別、と対称式をたどる。山場は差の符号決定。積が負とわかったことと、この範囲で が動く向き、この2つを重ねると の符号まで絞れる。

解答・解説

方針

という1本の式から、 をすべて確定させる問題だ。段取りはこうなる。

(1)2乗して積 を出す。(2)差 を出す。(3)和と差を連立すれば、足して 、引いて が個別に取り出せる。

山場は(2)の符号決定だ。 の平方根には の2択が出る。でも(1)で積が負とわかること、 であることを組み合わせると、 の符号まで決まって2択が1つに絞れる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 本の式から つの値をすべて確定させる。段取りの設計が主役だ。

まず和を 乗して積を出す。ここで隠れた式 を使う。

和と積が分かれば 数を復元できる。これは対称式の定跡だ。

そこへ「積が負だから のほうが負」という符号の推理が加わる。

公式三角比の相互関係

(1) の両辺を2乗して、 を使うと

積が負。この符号は後で効いてくるので覚えておく。

(2) 差を直接求めることはできないので、まず2乗の値を計算する。和の2乗との違いは、中央の項の符号だけだ。

よって 。ここで安易に正を選んではいけない。根拠を積み上げて符号を決める。

では だ。(1)より 、つまり2つは異符号なので、 かつ と決まる。したがって は(正)(負)で正だ。

(3) 和と差を連立する。

辺々加えて より 。辺々引いて より

検算: ✓、

振り返り。 『和 → (2乗して)積 → 差 → 連立で個別の値』という流れは、対称式から元の2数を復元する定番の道すじだ。計算はほぼ機械的に進むが、唯一頭を使うのが(2)の符号決定。そしてそこで効くのは計算ではなく、『この範囲では は負にならない』という定義域の知識だった。難しい問題ほど、最後の分岐を決めるのは基本事項だ。

発展 — 一歩先へ。 そもそも和 つ決めるだけで、なぜ積や差まで芋づる式に決まるのか。

理由は、 が独立ではなく、たった つの角 で同時に決まるからだ。この拘束が 、すなわち単位円の方程式そのもの。だから和を とおくと、積は必ず に定まり、差の 乗も と決まってしまう。

合成すると だから、和が取れる値は に限られる。今回の はこの幅の中に収まっており、解がちゃんと存在することも同時に分かる。

(1) (2) (3)

別解

別解 — 単位円と直線 の交点として一気に求めるルート(視覚で捉える)。 とおくと、点 は単位円 の上にあり、条件 は直線 を表す。

求めるのは、この円と直線の交点だ。 を円の式に代入する。

よって または では 、すなわち が要る。これを満たすのは のほうだけだ。

このとき 。差 もその場で読める。和と積を行き来する本解と、同じ結論に着く。

ポイント

  • 和 → 2乗して積、積 → で差、と対称式の道具でつなぐ
  • 差の符号は「 と積の符号」から論理的に決定する(勘で選ばない)
  • 和と差がそろえば、加減して が個別に取り出せる

よくある間違い

  • から を出したところで、根拠を示さず正の側を選んでしまう。
  • 符号を決める段で の範囲を使わず、 の場合まで延々と調べ続けて時間を失う。
  • 和と差を連立するとき、足して ・引いて の対応を取り違え、 などとする。