数学I / 図形と計量

余弦定理と対称式(b+c から2辺を決定)

★★★ 応用余弦定理対称式面積

問題

において、 である。

(1) の値を求めよ。

(2) の長さを求めよ。ただし とする。

(3) の面積 を求めよ。

ヒントを見る

だけが与えられ、個別の辺は不明。だが余弦定理の右辺は 、つまり対称式でできている。個別の辺を追わず、和と積に翻訳できないか。

解答・解説

方針

という条件が目を引く。2辺の和だけがわかっていて、個別の値は不明という設定だ。

ここで思い出したいのが、対称式の変形 。余弦定理 の右辺をこの形に書き直すと、式全体が『』だけで書ける。つまり与えられた和がそのまま使えて、残る未知数は積 1つになる。

和と積がそろえば、解と係数の関係で 自体も復元できる。数と式でやった対称式が、図形の中で生きてくる問題だ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 。和だけ与えられて個別の辺は不明、という形は対称式のサインだ。

余弦定理に現れる に書き換える。

すると余弦定理そのものが の方程式に化ける。

「定理の式を対称式で読み替える」のが急所だ。

60°ABC23√7
∠A = 60°、BC = √7、AB + AC = 5(答: AB = 2、AC = 3)

とおく。条件は だ。

公式余弦定理

(1) 余弦定理より

このまま眺めていても は個別にわからない。でも聞かれているのは積 だ。そこで を代入して、式を『和と積の言葉』に翻訳する。

よって 、すなわち

(2) と積 がそろった。『和と積がわかれば元の2数がわかる』。解と係数の関係により、 の2次方程式

の2解だ。よって で、()より

どちらが でどちらが かは、方程式だけでは決まらない。問題文の大小条件で振り分ける、この最後の詰めを忘れないこと。

(3) 面積公式より

面積公式に入るのは積 そのもの。(1)の結果がそのまま使えて、 の個別の値は実は要らない。

振り返り。 この問題の核心は『余弦定理は 、つまり対称式だけでできている』という観察だ。だから和 が与えられた瞬間に、個別の辺がわからなくても方程式が回り出す。『求めたいものを直接追わず、和と積を追う』。対称式の考え方は、方程式の単元を出てもこうして生き続ける。

発展 — 一歩先へ。 この問題は「 と辺の和 を固定すると、向かいの辺 はどこまで動けるか」と一般化できる。

で、 は相加相乗平均より 。等号は のときだ。

このとき は最小の 、つまり 。逆に に近づくと に近づく。だから の動ける範囲は で、 はちょうどこの中にある。

を固定したとき、向かいの辺が最短になるのは二等辺のとき。「和が同じなら差が小さいほど積が大きい」という相加相乗の感覚が、図形の長さにそのまま効いている。

(1) (2) (3)

別解

別解 — を代入して直接 次方程式にするルート(苦手な人向けの素直な計算)。 を経由せず、文字を つに減らして素直に解く。

とおくと 、だから と書ける。 なので余弦定理は 。ここへ を入れる。

左辺を展開すると だから

または より

すると 、面積は 。対称式で積 を先に取り出す本解と、同じ答えに至る。

ポイント

  • 余弦定理の と対称式に直すと、和・積の情報とつながる
  • 和と積が分かれば の2解として2辺が決まる
  • 面積公式に必要なのは積 だけ — 何が本当に必要かを見極めると計算が減る

よくある間違い

  • を掛け忘れ、 などとして を誤る。
  • まで出したのに、和と積から 辺を復元する段()を思いつかず、個別の辺のところで手が止まる。
  • を求めた後、 の指定を見落として と逆に答える。