数学I / 数と式

ネスビットの不等式

最難関編不等式相加相乗

問題

正の実数 に対して、次の不等式を証明せよ。

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各分数はそのままだと扱いにくい。 のように を足すと分子がそろう。 つ足した式を でくくると、有名な に持ち込めるか。

解答・解説

方針

各項に を足すと分子が でそろう。 とおくと左辺 。相加相乗(または )で下から評価する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 分母がバラバラで、直接は評価しにくい。鍵は、各項に を足して分子をそろえることだ。

。3項すべてで、分子が に統一される。すると左辺 は「 × 分母の逆数の和」になり、有名不等式 に乗る。

重要正数について (相加相乗、等号は )

① 各項に を足す。 とおくと

すなわち(左辺)

② 有名不等式で評価する。 とおくと 。相加相乗より

よって

③ 結論。 (左辺) だから

等号は 、すなわち のとき。

まとめ: 「各項に を足して分子をそろえる」細工で、扱いにくい和を有名不等式 に帰着させる。足した を最後に引いて が出る。ネスビットの不等式と呼ばれる名品だ。

発展 — 一歩先へ。 変数を増やしても同じ細工が通る。正数 ()と について が成り立つ( が本問)。「+1 で分子をそろえる」は、この一族全体を貫く一手だ。

各分数に を足して でくくり、相加相乗で示す(等号 )

別解

分子を2乗の形に直して評価する(得意な人向け)。 各項の分子を2乗にそろえる書き換えから始める、別の定石もある。

定理コーシー・シュワルツの不等式(分数形): (正数 )

これを使うと、 として

あとは (展開すれば )から

等号はどちらの不等式でも

「分子を2乗にして一気に足す」このコーシー・シュワルツの型は、分数の和の下からの評価の万能ナイフだ。数IIの式と証明で本格的に登場するが、姿だけ先に知っておくと世界が広がる。

ポイント

  • 各項 で分子が にそろう。
  • を適用。
  • (左辺)、等号

よくある間違い

  • 3つの分数を通分して力任せに示そうとする。分母の積 の展開は項が爆発し、符号の整理で挫折しやすい。
  • を「有名だから」で済ませる。展開して を3組作る、まで書いて証明になる。
  • 等号条件を書き忘れる。 すなわち 、整理して 。不等式の答案は等号まで含めて完成。