数学I / 数と式
3文字の3乗の恒等式
問題
次の等式を証明せよ。
ヒントを見る
左辺は について3次で対称。 を代入すると左辺はどうなるか? になれば で割り切れる。対称性を使えば残りの因数も見える。
解答・解説
方針
左辺を の多項式とみて を代入すると になる → を因数にもつ。対称性から も因数。次数と係数を合わせて確定する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 恒等式の証明は、右辺の因数分解された形が「なぜその因数をもつか」を左辺から示すと見通しがよい。
左辺を の多項式とみて、 を代入してみる。 になれば、因数定理から を因数にもつと分かる。左辺は について対称だから、同じ理由で も因数だ。
左辺は3次、 も3次。あとは定数倍を、退化しない1点で合わせれば確定する。
① が因数。 左辺を とし、 を代入する:
よって は を因数にもつ。
② 対称性から3因数。 は の入れ替えで不変(対称式)。だから同様に で 、 で になり、 は で割り切れる。
③ 定数倍の決定。 も も、ともに の3次式。 とおき、たとえば を代入すると
より 、。したがって
まとめ: 因数定理で因数を1つ見つけ、対称性で残り2つに広げ、次数の一致から定数倍だけを1点で合わせる。総当たりの展開より、構造(因数と次数)を使う方が短くて確実だ。
発展 — 一歩先へ。 この恒等式に を入れると、左辺は 、右辺は 。つまり有名な「 のとき 」が1行で出る。本問は、あの公式の親玉なのだ。
両辺を展開・因数分解して一致(または を代入して因数 をとらえる)
別解
2文字の同型を踏み台にする(展開を最小限にした直接ルート)。 2文字版の恒等式 は展開1回で確かめられる。これを踏み台に、3文字目を後から入れる。
とおいて、左辺を「 と の2文字」として展開する:
前半は2文字版で 。後半は 。合わせて
最後のかっこは と因数分解できる。よって
因数定理を使わず、既知の2文字版に帰着させて組み立てるルートだ。「複雑な式は、文字を1つ束ねて既知の形に落とす」という手筋は、対称式のあちこちで使える。
ポイント
- で左辺 → が因数。
- 対称性で も因数。
- で定数倍 。
よくある間違い
- いきなり全展開する。3文字の3次式は項が多く、整理の途中で符号を落としやすい。構造(因数と次数)で攻める。
- 因数定理で を見つけたあと、「対称性から も」の一言を書かずに飛ぶ。対称式であることが、その根拠。
- 定数 を決める代入で や を選ぶ。両辺が になって情報が出ない。退化しない値( など)を選ぶ。