方針
sn=xn+xn1 とおき、(x+x1)(xn+xn1)=xn+1+xn+11+xn−1+xn−11 から sn+1=tsn−sn−1 の漸化式で順に求める。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 xn+xn1 の形を sn と名付けると、見通しが一気に開ける。
積 (x+x1)(xn+xn1) を展開すると、xn+1+xn+11 と xn−1+xn−11 が同時に現れる。つまり sn+1=tsn−sn−1 — 隣り合う s をつなぐ漸化式だ。
s1=t, s2=t2−2 から出発して、はしごを1段ずつ登れば s3, s4, s5 が順に手に入る。
重要sn=xn+xn1 について sn+1=tsn−sn−1(積を展開)
① 土台。 s1=x+x1=t。s2=x2+x21=(x+x1)2−2=t2−2。
② s3。 s3=ts2−s1=t(t2−2)−t=t3−3t。よって x3+x31=t3−3t。
③ s5。
s4=ts3−s2=t(t3−3t)−(t2−2)=t4−4t2+2,
s5=ts4−s3=t(t4−4t2+2)−(t3−3t)=t5−5t3+5t.
よって x5+x51=t5−5t3+5t。
まとめ 対称式 sn=xn+xn1 は sn+1=tsn−sn−1 の漸化式で t の多項式に。s3=t3−3t, s5=t5−5t3+5t。数と式(対称式)と漸化式の融合。
発展 — 一歩先へ。 sn=xn+xn1 の列 t, t2−2, t3−3t, t4−4t2+2, t5−5t3+5t,… は、実は x=cosθ+isinθ とおくと sn=2cosnθ、t=2cosθ — つまり「cosnθ を cosθ の多項式で表す」チェビシェフ多項式の親戚だ。数IIの3倍角の公式 cos3θ=4cos3θ−3cosθ が、s3=t3−3t の中にそのまま透けて見える。
答sn=xn+xn1 は sn+1=tsn−sn−1(積を展開)。s1=t, s2=t2−2 から s3=t3−3t、s5=t5−5t3+5t。
別解
二項定理で上から降ろす(漸化式を使わない)。 t5=(x+x1)5 を二項定理でまるごと展開してしまう。
t5=x5+5x3+10x+x10+x35+x51=s5+5s3+10s1
(展開の係数 1,5,10,10,5,1 が、外側から s5, s3, s1 に組みになる。)同様に t3=s3+3s1 だから s3=t3−3t。これを上の式に代入して
s5=t5−5s3−10t=t5−5(t3−3t)−10t=t5−5t3+5t
漸化式(本解)は1段ずつ確実に登るはしご、二項展開は目的の s5 へ天井から降りるロープ。5乗くらいまでなら二項定理が速く、もっと高次なら漸化式が安定する — 使い分けの感覚も込みで両方持っておきたい。
ポイント
- sn=xn+xn1、sn+1=tsn−sn−1。
- s1=t, s2=t2−2。
- s3=t3−3t, s5=t5−5t3+5t。
よくある間違い
- s2=t2−2 の −2 を落とす((x+x1)2 の展開の真ん中 2)。
- 漸化式を sn+1=tsn+sn−1 と符号違いで覚える(積の展開で sn−1 は引く側)。
- s4 を飛ばして s5 を直接作ろうとして、漸化式の段が噛み合わなくなる(s5=ts4−s3 なら s4 が要る。s5=s2s3−s1 のような積の分解でも可)。