数学I / 数と式
工夫して展開する
問題
次の式を展開せよ。
(1)
(2)
ヒントを見る
まともに展開する前に、うまい形が隠れていないか探す。(1)は共通の を1つのかたまりと見ると? (2)はかける順番を変えると、先に『和と差の積』が作れる。
解答・解説
方針
そのまま展開すると大変な式も、共通のかたまりを1文字に置きかえると、公式がそのまま使えてラクになる。
(1)は を1つのかたまり とみると、 という和と差のかけ算になる。
(2)は順番を工夫する。先に を計算すると になり、そのあとが和と差のかけ算になる。「どこを先に計算するか」で手間が変わる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 そのまま展開すると項が多くて大変そう — と感じたら、それは共通のかたまりを探すサインだ。
(1)は がどちらのカッコにもいる。かたまりを 文字 とみれば、 — 和と差の積の公式が使える。
(2)は順番の工夫。先に を作ると、次も和と差の積になって連鎖する。「どこから計算するか」も解法のうちである。
(1) を1つのかたまりとみて とおく。すると和と差のかけ算だ。
をもとに戻して、 を展開する。
(2) 前から順にかけるより、組み合わせを工夫する。 が和と差のかけ算になっているので、先に計算する。
残りの をかけると、これもまた和と差のかけ算の形だ。
まとめ:和と差のかけ算 が2回使えると気づけば、一気に片づく。
発展 — 一歩先へ。 (2)の連鎖はもっと続けられる — に を掛ければ 、さらに掛けて 。「和と差の積のドミノ」は という美しい積の形を生み、数Bの数列や 進法の話( の因数分解)にも顔を出す。
かたまり置き()は、複2次式()・対称式・数IIの複雑な展開まで、この単元の後半から先へずっと使い続ける中心技術。「同じ形の反復を見たら 文字に圧縮する」— 数学の式変形の、最も汎用的な整理術である。
(1) (2)
別解
「順番の工夫」のありがたみは、わざと悪い順番で 度やってみると骨身にしみる。
(2)を前から順に、 でなく から計算してみよう。
項の 次式 — 公式の形ではない。これに を掛けると、 項の配り算になり、同類項をまとめてようやく に着く。答えは同じだが、手数と事故の機会が数倍だ。
良い順番( が先)なら
— 和と差の積が 連鎖して 行で終わる。
かけ算は順番を選べる(交換・結合法則)— だから「公式が使えるペアを先に組む」という設計の自由がある。計算の前に 秒、ペアの組み方を眺める習慣が、この問題の本当の教えである。
ポイント
- 共通のかたまりを1文字に置きかえると、公式が使える
- かける順番を工夫すると、和と差のかけ算が現れる
- 置きかえたら、最後にもとに戻すのを忘れない
よくある間違い
- (1)で をもとに戻した後、 の展開で を落とす
- (2)を前から順にかけて、計算を複雑にする
- (1)を とせず全 項を配って符号事故を起こす