数学I / 集合と命題

三角不等式の等号条件

最難関編必要十分条件絶対値

問題

実数 について、次を示せ。

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絶対値の比較は2乗が定石 — ただし「2乗しても同値」と言えるのは両辺がどんなときか。2乗して打ち消し合ったあとに残る1行は、右側の条件とどうつながるか。

解答・解説

方針

絶対値の等式は、両辺が0以上であることを確認してから2乗すると同値変形できる。2乗して整理すると |ab|=ab という1行に潰れ、これは ab≥0 の定義そのもの。「⟺ を保ったまま変形する」ことを明示するのが答案の背骨。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 場合分け( の符号4通り)でも示せる。だが、同値変形を1本道で通す方が鮮やかだ。

鍵は「両辺が0以上の等式は、2乗しても同値」ということ。 も0以上だから、安心して2乗できる。展開すると共通部分が消えて、残るのは

の1行。そしてこれは「」の定義そのものだ。必要も十分も、この同値の鎖1本が同時に済ませてくれる。

重要 のとき (同値)。(絶対値の定義)

① 2乗して同値変形する。 両辺とも0以上だから

② 展開して潰す。 左辺は 。右辺は 。共通の を消して

③ 定義に帰着する。 (絶対値が自分自身に等しいのは0以上のときに限る)。①②③の同値の鎖により

が示された。

まとめ: 「0以上どうしなら2乗は同値」。この一言を明示することが、⟺ の証明の生命線だ。三角不等式 の等号条件を切り出した問題で、ベクトルや複素数の三角不等式でも同じ条件(同じ向き)が顔を出す。

発展 — 一歩先へ。 個版も同じ形になる。 ⟺ すべて同符号(0は どちらにも数えてよい)。ベクトルでは ⟺ 同じ向き。次元が上がっても、等号の意味は「打ち消し合いが起きない」で一貫している。

証明(両辺とも0以上なので2乗して同値変形: )

別解

数直線の歩みで見る(直感ルート+場合分けの証明)。 は「原点からの道のり」、 は「 歩いてから 歩く」こと。すると等式の意味はこうなる。

道のりの合計( )が、到達距離( )に等しい。 寄り道せず、2歩が同じ向きのときだけ起こることだ。逆向きに歩くと、打ち消した分だけ到達距離は縮む。

この直感を、符号の場合分けでそのまま証明にできる:

  • のとき: ✓(等号成立。このとき )
  • のとき: ✓(等号成立。)
  • 異符号(たとえば )のとき: の差の絶対値で、 より真に小さい( の打ち消しが起こる)。等号不成立。このとき

等号が成り立つ場合とそうでない場合が、 にぴったり対応する。2乗の同値変形(本解)は、この場合分けを1本の式に圧縮したものだ。

ポイント

  • 両辺0以上 → 2乗しても同値。
  • 展開して の1行に潰れる。
  • (定義)。

よくある間違い

  • 「2乗しても同値」の資格(両辺が0以上)を言わずに2乗する。一般には は同値でない()。
  • ⟸(十分性)だけ示して満足する。⟺ の証明は両向き。同値変形の鎖で書けば、両向きが同時に済む。
  • 等号条件を と書いて、一方が0の場合を落とす。 なら で等号は成立している。