数学I / 集合と命題
存在命題が真になる条件
問題
を実数の定数とする。命題
「ある実数 が存在して 」
が真となるような の値の範囲を求めよ。
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「ある で成り立つ」は、左辺をいちばん小さくする で成り立つかどうか、と同じこと。距離の和 がいちばん小さくなるのは がどこにあるときで、その最小値はいくらか。
解答・解説
方針
「ある x で ≤2」⟺「左辺の最小値が ≤2」。存在命題を最小値の言葉に翻訳する。|x−a|+|x−1| は2点 a, 1 への距離の和で、最小値は x を2点の間に置いたときの |a−1|(2点間の距離)。よって条件は |a−1|≤2。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 存在命題「ある で 」は、「 の最小値が2以下」と同値だ。量化子を最小値の言葉に翻訳する。これが第一手になる(全称なら最大値に翻訳する、と対で覚える)。
は、数直線上の2点 への距離の和だ。 が2点の間(両端含む)にあれば、和はちょうど2点間の距離 。外に出ると、それより大きくなる。つまり最小値は 。
条件は の1本に潰れる。
① 最小値を求める。 三角不等式より、すべての で
等号は と が異符号または0のとき。すなわち が と の間にあるときだ。そのような は実際に存在するから、最小値は である。
② 存在命題を翻訳する。
③ 解く。
まとめ: 「ある 」は最小値、「すべての 」は最大値。量化子と最大最小の翻訳表が、この型の背骨だ。距離の和の最小が「2点の間なら2点間の距離」という数直線の描像とセットで、絶対値の式が一気に1次不等式へ潰れていく。
発展 — 一歩先へ。 平面で「2定点への距離の和が一定」の点の集まりは楕円になる(数Cの2次曲線)。本問の「距離の和が2以下になれるか」は、その1次元版だ。存在条件 は、「楕円がつぶれずに残る条件(定数 ≥ 焦点間の距離)」とまったく同じ形をしている。
別解
グラフの「皿」で見る(直感ルート)。 のグラフを描いてみよう。2つのV字の和は、両すそが上がった皿型になる。
形の理由はこうだ。 が2点 の外側にいるとき、動くと両方の距離が同時に増減するから、傾きは 。2点の間では、片方に近づいたぶん片方から遠ざかり、和は変わらない。だから底は平らで、高さは2点間の距離 だ。
「ある で 」とは、皿のどこかが高さ2以下にあること。いちばん低いのは平らな底だから、条件は 。つまり 。
場合分け(1次式3本)で最小値を計算しても同じ結論になる。だが皿の絵が頭にあれば、式より先に答えの形が見える。
ポイント
- (翻訳)。
- 距離の和の最小 = (2点の間で等号)。
- 。
よくある間違い
- 「ある 」を「すべての 」と読み違える。この は上に有界でないから、全称版は必ず偽になってしまう。量化子の確認が最初の仕事。
- 最小値が になる理由(等号は が2点の間のとき、その が存在すること)を書かない。三角不等式は下界を与えるだけで、達成の確認が要る。
- を だけにして、左側 を落とす。絶対値不等式は両側に開く。