数学I / 集合と命題
2つの有理数の間には無理数がある
問題
を満たすどんな有理数 に対しても、 を満たす無理数 が存在することを示せ。
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「存在する」を示すには、実際に作ってみせるのが早い。区間の中の点は「a + (幅)×(0と1の間の数)」の形 — その「0と1の間の数」に無理数を仕込むと、できあがった点はどうなるか。
解答・解説
方針
存在の証明は「具体的に1つ作る」のが最強。区間の幅 b−a を 1/√2 倍だけ進んだ点 c=a+(b−a)/√2 を候補にする: 0<1/√2<1 だから c は区間の内部にあり、もし c が有理数なら √2=(b−a)/(c−a) が有理数になって矛盾する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 存在証明の最短路は構成だ。条件を満たすものを、式で1つ作ってみせる。
区間 の点は ()の形に書ける。そこで に、0と1の間の無理数 を仕込む:
あとは2つの確認で完成する。「区間に入る」( から即)。そして「無理数である」(有理数と仮定すると が有理数の式で書けて矛盾)。
① 候補を作る。 とおく( は有理数、)。
② 区間に入ることを確かめる。 より 。 を掛けて 。各辺に を足して
③ 無理数であることを確かめる。 が有理数と仮定すると
( は②から)。右辺は有理数の四則でできた有理数。 が無理数であることに矛盾する。よって は無理数で、求める点が存在する。
まとめ: 「存在せよ、と言われたら作ってみせる」。構成的証明の見本だ。仕込みに使えるのは に限らず、0と1の間の無理数なら何でもよい。この事実は「どんなに狭い区間にも無理数がぎっしり詰まっている」ことを意味する。
発展 — 一歩先へ。 逆向きも成り立つ。どんな2つの無理数の間にも有理数がある(小数表示を途中で打ち切って作る)。合わせると、数直線の上で有理数と無理数は、どちらも「どんな短い区間にも現れる」ほど細かく織り合わさっている。この性質を稠密という。
証明( が無理数で、 から )
別解
小さすぎる一歩を足す(もう1つの構成)。 区間の幅に合わせて割る代わりに、「十分小さい無理数の歩幅」を に足す作り方もある。
を半分、また半分、と割っていく: 倍々で割るのだから、いずれ区間の幅 より小さくなる。そこで
とおけば、 で区間に入る。無理数であることは本解と同じ背理法( 有理なら が有理で矛盾)。
この作り方の教訓は2つ。無理数はいくらでも小さく作れること。そして「有理数+0でない有理数×無理数=無理数」という道具は、歩幅がどんな形でも同じように働くことだ。構成は一通りではない。
ポイント
- 候補 を構成。
- で区間の内部。
- 有理なら 有理で矛盾。
よくある間違い
- 中点 を候補にする。有理数どうしの平均は有理数で、無理数にならない(有理数は四則で閉じている)。
- が区間に入る確認( を掛けて足す)を省く。構成した点は、条件を全部検品して初めて答えになる。
- 「 は を含む式だから無理数」で済ませる。含むだけなら もある。有理数と仮定して を解き出す背理法まで書く。