数学I / 集合と命題
x²−x と x³−x が有理数なら x は有理数
問題
実数 について、 と がともに有理数ならば、 は有理数であることを示せ。また、「 が有理数ならば は有理数」は正しいか — 正しければ証明し、正しくなければ反例をあげよ。
ヒントを見る
を で「割って」みる — きれいな恒等式が隠れている。割るときは0で割る場合の別扱いを忘れずに。後半は、 が有理数になる無理数を、2次方程式の解から探してみる。
解答・解説
方針
鍵は恒等式 x³−x=(x+1)(x²−x)。a=x²−x≠0 なら x+1=(x³−x)/a が有理数の商で有理数、よって x も有理数。a=0 なら x=0,1 で直接有理数。後半は「黄金比」x=(1+√5)/2 が x²=x+1 を満たすことから反例になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 与えられた2つの量 と の、間の関係を探すのが第一手だ。 を で割ってみると
きれいな恒等式が出る。 なら は有理数どうしの商で有理数。よって も有理数だ。 の場合は から で片づく。
後半は、「条件を1つに減らすと崩れるか」という問いだ。 有理数、を満たす無理数を2次方程式の解から逆算する。 の解 が、まさに反例になる。
① の場合。 とおくと、上の恒等式から 。 なら
右辺は有理数の四則だけでできているから有理数。 は有理数である。
② の場合。 より 。 または で、どちらも有理数。①②より前半が示された。
③ 後半は誤り(反例)。 は の解だから、(有理数)。しかし は無理数だ( が有理数なら も有理数になって矛盾)。よって「 が有理数 ⟹ 有理数」は偽である。
なお、この では が無理数になっており、前半の主張と整合している。
まとめ: 前半は「2つの量の間の恒等式を割り算で発見する」。後半は「条件を1つ外すと、2次方程式の無理数解が反例になる」。証明と反例の両輪で、条件の強さの境目をぴったり見極める問題だ。0で割る場合の分離という作法も込みで、論証の総合演習になっている。
発展 — 一歩先へ。 反例の (黄金比)では、 を繰り返し使うと、どの も「整数 整数」の形になる(係数にはフィボナッチ数列が現れる)。だから のような組合せだけが、無理数部分が打ち消されて有理数になる。反例が偶然でなく、構造から来ていることが見えてくる。
前半: から を有理数の式で表す(証明)。後半: 誤り(反例 では )
別解
次数下げで機械的に進む(発見に頼らないルート)。 恒等式を「見つける」のが不安なら、 を と読み替えて、次数を下げていけばよい。
を計算する。 を繰り返し使うと
よって
の1次方程式になった。 なら で、有理数の四則だから有理数。 の場合は本解と同じく 。
「2次の関係式があれば、どんな高次式も1次まで下げられる」。この次数下げは、ひらめきではなく手順だ。恒等式の因数分解に気づかなくても、同じゴールに機械的にたどり着ける。
ポイント
- — 割り算で恒等式を発見。
- なら 有理数、 なら 。
- 反例 ( だが は無理数)。
よくある間違い
- ()の場合分けを忘れて、いきなり で割る。0で割る操作は常に別扱い。
- 後半を「正しい」と思い込んで証明を試み、時間を失う。示せないときは反例探しに切り替える。 の無理数解、と逆算するのが早い。
- 反例で が無理数であることの確認( 有理なら も有理で矛盾)を省く。「 を含むから無理数」は論証になっていない。