数学I / 集合と命題
逆・裏・対偶とその真偽
問題
は整数とする。命題「 が の倍数ならば、 は の倍数である」について、逆・裏・対偶をそれぞれ述べよ。また、もとの命題・逆・裏・対偶の真偽をそれぞれ調べ、偽の場合は反例を 1 つ挙げよ。
ヒントを見る
逆・裏・対偶を機械的に作る(入れかえ/両方否定/両方)。真偽は、もとと対偶・逆と裏がそれぞれ一致する性質を使うと2つ調べれば済む。偽のものは反例を1つ。
解答・解説
方針
逆は入れかえ、裏は両方否定、対偶は入れかえて両方否定。もとと対偶は真偽が一致、逆と裏も一致する。
この問題では、もとの命題が偽であることに注意。もとが偽なら対偶も偽、逆が真なら裏も真、という一致を確かめる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 4つの命題を独立に調べると、4回証明することになる。それは損だ。
「もとと対偶」「逆と裏」は真偽が必ず一致する。この構造を先に使えば、実質調べるのは2つで済む。
もとの命題と逆だけ真偽を確定し、残り2つは一致のルールで写す。作業を半分にしてから手を動かす。
もとの命題は『 が3の倍数ならば、 は6の倍数である』。
逆・裏・対偶
- 逆(入れかえ):『 が6の倍数ならば、 は3の倍数である』
- 裏(両方否定):『 が3の倍数でないならば、 は6の倍数でない』
- 対偶(入れかえて両方否定):『 が6の倍数でないならば、 は3の倍数でない』
真偽
- もとの命題: 3の倍数でも6の倍数とは限らない。 は3の倍数だが6の倍数でない。反例 で偽。
- 逆: 6の倍数なら必ず3の倍数(6の倍数 )。真。
- 裏: 3の倍数でないなら6の倍数でもない(6の倍数は3の倍数だから、その対偶)。真。
- 対偶: 6の倍数でないなら3の倍数でない、は成り立たない。 は6の倍数でないが3の倍数。反例 で偽。
もとの命題(偽)と対偶(偽)、逆(真)と裏(真)が、それぞれ真偽一致している。『もとと対偶、逆と裏はペアで真偽が同じ』が、ここでも確かめられる。
発展 — 一歩先へ。 「もとと対偶の真偽一致」は、次の対偶証明の技法を支える根拠だ。示しにくい命題を、示しやすい対偶に乗り換えてよいのは、この一致があるからである。
もう1つの教訓は「逆は保証されない」ということ。式変形や方程式の解法で、いつのまにか逆向きの主張にすり替わっていないかを疑う習慣は、この単元でいちばん実用的な収穫だ。
もとの命題: 偽(反例 )。逆「 が の倍数ならば は の倍数」: 真。裏「 が の倍数でないならば は の倍数でない」: 真。対偶「 が の倍数でないならば は の倍数でない」: 偽(反例 )。
別解
集合の絵1枚で、4つの真偽をまとめて読むこともできる。
の倍数全体の集合と、 の倍数全体の集合を思い浮かべる。 の倍数の集合は、 の倍数の集合の内側にすっぽり入る(逆は入らない。 や がはみ出している)。
- もとの命題「 の倍数 の倍数」は、外側が内側に含まれると主張している。偽で、はみ出した が反例。
- 逆「 の倍数 の倍数」は、内側が外側に含まれるという主張。真。
- 対偶はもとと同じ包含の主張を裏返しに言っただけ(だから真偽一致)。裏は逆と同じ。
「⇒は包含」という翻訳を使うと、真偽一致のルールも図の中で当たり前に見える。
ポイント
- 逆は入れかえ、裏は両方否定、対偶は入れかえて両方否定
- もとと対偶、逆と裏がそれぞれ真偽一致
- もとが偽でも、逆が真になることがある(独立)
よくある間違い
- 逆・裏・対偶の作り方を混同する
- もとが偽なら逆も偽、と思い込む(逆の真偽はもとと連動しない)
- 「 の倍数でない」の否定処理を誤り、裏・対偶の文が二重否定になる