数学I / 集合と命題
対偶を用いる整数の証明(3の倍数)
問題
整数 について、「 が の倍数ならば は の倍数である」ことを対偶を用いて示せ。
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対偶は「 が の倍数でない が の倍数でない」。 とおいて を で割った余りを調べる。
解答・解説
方針
元の命題は直接示しにくいので対偶をとる。 を で割った余りが の場合に の余りを計算し、 の倍数にならないことを示す。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「 が3の倍数 ⟹ が3の倍数」を直接示そうとすると、 の情報から を復元する向きで進みにくい。
そこで対偶「 が3の倍数でない ⟹ も3の倍数でない」に切り替える。仮定が「 と書ける」という使いやすい形になるのが対偶の御利益だ。
あとは2乗して、3で割った余りを計算するだけ。どちらの場合も余り で、3の倍数にならない。
① 対偶をとる。 示すべき対偶は「 が の倍数でないならば も の倍数でない」。
② 余りで場合分け。 が の倍数でないとき、 または ()、まとめて 。 ③ 余り 。 は で割ると余り で、 の倍数でない。よって対偶が成り立ち、元の命題「 が の倍数 が の倍数」も真。
まとめ 対偶「 が の倍数でない も の倍数でない」を、 の 乗が余り になることで示す。命題(対偶)と整数の融合。 が無理数の証明にも使う。
発展 — 一歩先へ。 この命題()は、 の無理性証明の心臓部品そのもの(前問の の場合で使った性質)。また対偶の技は「余りで分類すると仮定が使いやすくなる」場面全般で有効で、たとえば「 が3の倍数になる は存在しない」( の余りは のみ)も同じ表から即答できる。
対偶「 が の倍数でないならば も の倍数でない」を示す。 とすると で余り 、 の倍数でない。
別解
素数の性質で直接(対偶を経由しない1行)。 は素数だから、次の性質が使える:
素数 が積 を割り切るなら、 は か の少なくとも一方を割り切る。
に適用すると、 から または — すなわち 。1行で終わる。
対偶+余りの場合分け(本解)は、この素数の性質を「余りの計算」で手作りしていることに当たる(余り の2乗が になる、という表がその中身)。素数の性質を既知として使ってよい場面なら直接1行、性質そのものの根拠から書く場面なら対偶 — 答案の文脈で使い分けたい。ちなみにこの命題は、 の無理性証明(前問の )の中でまさに部品として働く。
ポイント
- 直接示しにくい命題は対偶をとる。
- の倍数でない 。
- で余り 、 の倍数でない。
よくある間違い
- 対偶を「 が3の倍数でないならば は3の倍数でない」と作ってしまう(向きが逆。対偶は仮定と結論を両方否定して入れ替える)。
- の2乗で、 の整理を焦って余りを とする(どちらも余り )。
- 「対偶が真なら元も真」の一言(対偶の同値性)を書かずに締める。