数学I / 集合と命題
つねに正となる条件(全称命題と判別式)
問題
「すべての実数 に対し 」が成り立つような定数 の値の範囲を求めよ。
ヒントを見る
「すべての で 」は、下に凸の放物線が 軸と交わらない( 軸より上)条件。判別式 。
解答・解説
方針
全称命題「すべての で 」を、 次関数のグラフが 軸より上(交わらない)条件に翻訳する。 の係数が正なので判別式 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「すべての で 」という全称の条件は、グラフの言葉に翻訳すると扱える: 放物線 が 軸より完全に上にあること。
の係数は正(下に凸)だから、軸より上 ⟺ 軸と交わらない ⟺ 判別式 。
を解いて 。全称命題が、判別式の1本の不等式に化けた。
① グラフに翻訳。 は下に凸。「すべての で 」は、グラフが 軸より上、すなわち 軸と共有点をもたないこと。
② 判別式 。 ③ 解く。 、すなわち
まとめ 全称命題「すべての で正」は、下に凸の放物線が 軸と交わらない()条件。。命題(全称)と 次関数(判別式)の融合。 は 軸に接し「」が崩れる( になる)ので含めない。
発展 — 一歩先へ。 全称「すべての で 」の否定は存在「ある で 」— 答えの範囲 の補集合 が、ちょうど否定命題の成立範囲になっている。「全称 ⟺ 最小値」「存在 ⟺ 最大値(または1点)」という翻訳は、パラメータつき不等式の全問題を貫く背骨で、2次関数の章で「定義域つき」に進化して再登場する。
の係数が正の 次式が常に正 判別式 。、すなわち 。
別解
平方完成で最小値を直接見る(判別式を経由しない)。 全称命題は「最小値が正」と同じことだ。平方完成すると
第1項は 以上(最小は のとき )だから、全体の最小値は 。
「すべての で正」⟺「最小値 」⟺ ⟺ 。
判別式(本解)は「グラフが軸と交わらない」の翻訳、平方完成は「一番低い所でも正」の翻訳 — 同じ内容だが、平方完成はなぜその範囲か(最小値の式)まで手元に残る。境界 では最小値がちょうど (グラフが軸に接する)ことも即座に読める。
ポイント
- 「すべての で正」 下に凸で 軸と交わらない。
- 判別式 。
- (端は接するので除く)。
よくある間違い
- 判別式 とする(等号 では接して になる点があり、「」に反する)。
- の係数が正(下に凸)である前提を書かない(係数が負なら判別式条件では足りない)。
- 「ある で正」(存在)と「すべての で正」(全称)を混同する。