数学I / 集合と命題
背理法による証明
問題
が無理数であることは、証明なしで用いてよい。このとき、 が無理数であることを、背理法を用いて証明せよ。
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結論を否定して仮定する — 『 は有理数』とおく。その式を について解くと? 右辺が有理数になれば、 が無理数であることと食い違う。この矛盾で証明完了。
解答・解説
方針
背理法は『結論と反対のことを仮定して、矛盾を導く』証明法だ。
ここでは『 は無理数』を示したい。反対に『 は有理数』と仮定する。すると式変形で が有理数になってしまい、『 は無理数』という事実と矛盾する。矛盾が出れば、仮定が間違いだったとわかり、もとの結論が正しい。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 背理法は「結論の反対を仮定して、矛盾を導く」証明法。
示したいのは「 は無理数」。そこで反対に「 は有理数である」と仮定してみる。
すると式変形で が有理数だと言えてしまう — これは「 は無理数」という既知の事実に矛盾する。
矛盾が出たということは、仮定が間違っていた。よって結論が正しい。「無理数であることの直接証明」は難しいが、背理法なら扱える形に変わる。
背理法を使う。示したい結論と反対に、 が有理数であると仮定する。
その有理数を とすると
について解く。まず
両辺を3で割って
ここで右辺 は、有理数 から作った有理数(有理数どうしの計算は有理数)。つまり が有理数、ということになる。
でもこれは、『 は無理数』という事実に矛盾する。矛盾が出たのは、最初の仮定『 は有理数』が間違っていたからだ。
よって、 は無理数である。(証明終わり)
まとめ:背理法は『反対を仮定 → 変形 → 矛盾 → だから仮定が誤り → 結論が正しい』の流れ。無理数の証明でよく使う型だ。
発展 — 一歩先へ。 背理法の証明では、何と矛盾したのかを明示することが要点だ。今回は「 は無理数」という既知の事実と矛盾した。矛盾の相手が曖昧だと証明にならない — 「 が有理数となり、 が無理数であることに矛盾する」と書き切る。
背理法の威力は、「〜でない」型の主張(無理数である 有理数でない、素数が無限にある 有限個ではない)に対して発揮される。否定を証明するには、否定を仮定して壊すのがいちばん早い — ユークリッドの「素数は無限にある」の証明も、この型の名作である。
が有理数 であると仮定すると となり、右辺は有理数だから が有理数となって、 が無理数であることに矛盾する。よって は無理数である。(証明の詳細は解答参照)
別解
この証明が動く仕組みは、有理数の「閉じている」性質にある。そこを言語化しておくと、背理法の骨格が見える。
有理数どうしを足す・引く・かける・( でない数で)割る — 結果は必ず有理数だ( の形が保たれる)。これを「有理数は四則演算について閉じている」という。
(有理数)と仮定すると
右辺を見てほしい。(有理数)から (有理数)を引き、(有理数)で割った — 有理数の四則演算だけでできている。だから右辺は有理数だ。
すると が有理数 — 既知の事実「 は無理数」に真っ向から矛盾する。
矛盾の正体はこうだ。「無理数 」が、有理数の世界に閉じ込められてしまった。閉じた世界からは出られないはずなのに、外の住人()が中にいることになった — この不整合が矛盾である。
だから仮定が誤り。 は有理数ではありえない、つまり無理数だ。
「有理数 有理数 無理数」は必ず無理数 — 同じ論法で や (黄金比)の無理性も示せる。閉じた世界と、その外の住人 — この構図が背理法の型である。
ポイント
- 背理法は『結論の反対を仮定して、矛盾を導く』
- とおき、 について解く
- が有理数になれば、『 は無理数』に矛盾
よくある間違い
- 何を仮定するか(結論の反対)を間違える
- 有理数どうしの計算が有理数になることを、説明せずに使う
- 矛盾を示した後、「よって仮定は誤り、もとの結論が成り立つ」の締めを書き忘れる