数学I / 集合と命題

対偶を利用する証明

★ 基礎対偶法証明

問題

を整数とする。命題「 が奇数ならば、 は奇数である」を、対偶を利用して証明せよ。

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直接示しにくいときは対偶。まず対偶『 が偶数ならば は偶数』を作る。 とおいて を計算し、偶数の形(整数)になることを示す。

解答・解説

方針

が奇数ならば は奇数』を直接示すのは難しい。そこで対偶を使う。

対偶は『 が偶数ならば は偶数』。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、対偶を証明すれば、もとの命題も証明できたことになる。

対偶のほうが、 とおいて計算できるので示しやすい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 が奇数ならば は奇数」を直接示すのは難しい — 「 が奇数」という条件から の姿を取り出す手立てがないからだ。

そこで対偶に乗り換える。対偶は「 が偶数ならば は偶数」。

こちらは易しい — が偶数なら 具体的に書ける。書けたら計算できる。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、対偶を証明すれば仕事は完了だ。

「仮定が扱いにくいときは対偶」 — 証明の方針転換の定跡である。

重要命題とその対偶は真偽が一致する。直接示しにくいときは対偶を証明する

直接ではなく、対偶を証明する。もとの命題『 が奇数ならば は奇数』の対偶は

が偶数ならば は偶数』

である。もとの命題と対偶は真偽が一致するので、この対偶を示せばよい。

が偶数なら、( は整数)とおける。このとき

の形なので、 は偶数。これで対偶が示せた。

よって、もとの命題『 が奇数ならば は奇数』も真である。(証明終わり)

まとめ:直接示しにくい命題は、対偶に言いかえると『 とおいて計算』の形になり、ぐっと示しやすくなる。これが対偶を使う証明のうまみだ。

発展 — 一歩先へ。 は整数」と明記することが、この証明の生命線だ。 が偶数と言えるのは、整数だから — もし が分数なら (分数)は偶数とは限らない。整数であることの明示が、整数の証明の作法である。

対偶を使う証明は、この後もずっと登場する。「 が偶数ならば は偶数」(背理法で の無理性を示す鍵)も、直接は難しいが対偶「 が奇数ならば は奇数」なら の代入で 行だ。対偶は、証明のための最も安価な方針転換である。

対偶「 が偶数ならば は偶数である」を示す。( は整数)とおくと となり偶数。よって対偶は真であり、もとの命題も真。(証明の詳細は解答参照)

別解

なぜ対偶に乗り換えると易しくなるのか — 仮定の使いやすさが逆転するからだ。

もとの命題の仮定 が奇数」: ここから について何が言える? とおいても、 となって整数かどうかも怪しい式が出るだけ — 手詰まりだ。

対偶の仮定 が偶数」: ( は整数)と、 そのものを具体的な形で書ける。あとは代入して計算するだけ。

は整数だから、(整数)— 偶数だ。対偶が証明できた。

扱いやすい仮定とは「 のように具体形に書ける」もの。偶数・奇数・倍数の条件は書けるが、「〜が奇数でない」のような否定形や、複雑な式の性質は書きにくい。

命題を見たら、もとと対偶で「仮定が具体形に書ける方」を選ぶ — この一手の選択が、整数の証明問題の成否を分ける。

数値実験でも確かめられる。(奇数)なら (奇数)✓、(偶数)なら (偶数)✓、 なら (奇数)✓ — 対偶が主張するとおり、偶数の からは必ず偶数が出る。

ポイント

  • 直接示しにくい命題は、対偶を証明する(真偽が一致するから)
  • 対偶は『 が偶数 → が偶数』。 とおける
  • の形になれば偶数

よくある間違い

  • 対偶の作り方を間違える(入れかえて両方否定)
  • とおかず、一般の のまま示そうとする
  • 対偶を証明した後、「よってもとの命題も真」の一文を書き忘れる