数学I / 集合と命題
ド・モルガンの法則の確認
問題
以下の自然数全体の集合を全体集合 とする。 の部分集合を ( の中の偶数全体)、( の中の の倍数全体)とする。
(1) を求めよ。
(2) を求めよ。
(3) (1)と(2)の結果を比べ、そこで確かめられるド・モルガンの法則を等式で書け。
ヒントを見る
は『 に入らない要素』=『どちらにも入らない要素』。 も同じもの — 両方を実際に書き出して、一致するか見比べよう。
解答・解説
方針
ド・モルガンの法則『』を、実際に両辺を計算して確かめる問題。
左辺は『 にも にも入らない』、右辺は『 に入らず、かつ に入らない』。言葉にすると同じことを言っている。両方を計算して、一致することを見る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ド・モルガンの法則 を、両辺を実際に計算して確かめる問題だ。
左辺は「 にも にも入らない」もの。右辺は「 に入らず、かつ に入らない」もの。
日本語にすると同じことを言っている — その直感を、要素を書き出して数で確認する。法則を暗記するのではなく、成り立つ理由を目で見るのがこの問題の目的である。
は1〜12、 は偶数 、 は3の倍数 。
(1) まず (どちらか一方でも)を求める。
その補集合(以外)は
(2) 今度は と を別々に出す。
その共通部分(両方に入る)は
(3) (1)と(2)を比べると、どちらも 。つまり
まとめ:が確かに成り立つ。これがド・モルガンの法則だ。『どちらにも入らない = 一方にも入らず、もう一方にも入らない』と、言葉でも納得できる。
発展 — 一歩先へ。 この問題の (偶数)と ( の倍数)で — 「 でも でも割れない数」だ。 以下ならこれらは(1 を除いて)素数になる。「ふるいにかけて残った数」という発想は、素数を探すエラトステネスのふるい(数A)そのもの。集合の演算が、数論の道具として働いている。
ド・モルガンの法則は、命題の否定(「かつ」の否定は「または」)、条件の否定、そしてコンピュータの論理回路(NAND / NOR)まで、まったく同じ形で現れる。否定は と をひっくり返す — 論理の世界の基本法則である。
(1) (2) (3) 両者は一致し、 が確かめられる
別解
この法則、日常の言葉に翻訳すると、当たり前すぎて笑ってしまう。
を「コーヒーが好きな人」、 を「紅茶が好きな人」としよう。
これはどんな人か — コーヒーも好きじゃないし、紅茶も好きじゃない人だ。それがまさに ( でなくかつ でない)。
「または」を否定すると「かつ」になる — これがド・モルガンの本体だ。
もう つの法則も同じ調子で読める。
これは「コーヒーが嫌いまたは紅茶が嫌い」— どちらか一方でも嫌いなら「両方好き」ではない。 ✓。
記号を暗記すると と を取り違えるが、言葉に直せば間違えようがない。「否定すると、かつ ↔ または が入れ替わる」— この 行が、集合でも命題でも(次の単元でも)ずっと効く。
ポイント
- ド・モルガン:
- 『どちらにも入らない = Aに入らず、かつBに入らない』
- 両辺を計算して一致することで確かめられる
よくある間違い
- を と取り違える(∩と∪が入れかわる)
- 補集合を出すとき、全体 の範囲を忘れる
- を作るとき、重なる要素()を書き落とす