数学I / 集合と命題

有理数・無理数と係数決定

★★★ 応用背理法無理数有理数

問題

が無理数であることは証明なしに用いてよい。

(1) 有理数 について、 ならば であることを証明せよ。

(2) 有理数

を満たすとき、 の値を求めよ。

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(1) と仮定すると が有理数になってしまう — この矛盾で 、続いて 。(2)は左辺を『(有理数)(有理数)』の形に整理し、(1)を使って係数どうしを比べる。

解答・解説

方針

(1)『( 有理数)ならば 』を示す。もし なら となり、右辺は有理数。これは『 は無理数』に矛盾。だから 、続いて

(2)は(1)を使う。左辺を整理して『(有理数)+(有理数)』の形にし、右辺と比べる。 の係数どうし、 のない部分どうしが等しい、と2つの式を立てる(係数比較)。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)は「もし だったら」と仮定してみるところから始まる。すると が有理数として書けてしまい、矛盾する。

この背理法が、無理数まわりの係数比較を支える土台になる。 の係数と定数部分を別々に等しいとおける根拠は、ここで作られる。

(2)はその(1)を道具として使う問題だ。まず等式を (有理数)(有理数) の形に整理するのが第一歩になる。

重要 が有理数で なら ( が無理数だから)

(1) は有理数。もし なら、 について解けて

右辺は有理数どうしの計算なので有理数。つまり が有理数となり、『 は無理数』に矛盾する。だから に入れると 。よって 。(証明終わり)

(2) 左辺を、 を含む部分と含まない部分に整理する。

これが右辺 に等しい。

移項して

ここで は有理数。(1)の結果『(有理数)+(有理数) なら両方0』を使うと

この連立を解く。2つ目から 。1つ目に入れて

よって

(1)の『係数比較ができる』ことが(2)のカギ。 の係数どうし、定数どうしを等しいとおけるのは、 が無理数だからだ。

発展 — 一歩先へ。 が有理数なら、等式の に置きかえても、やはり正しい等式になる(共役をとる)。もとの式と共役の式を足したり引いたりすれば、有理部分と の部分がきれいに分離でき、係数比較と同じ連立が出てくる。

この「有理数係数の関係式では、 が対等に振る舞う」性質は、 を解にもつ最も簡単な方程式が ( 次)であることの反映だ。

同じことは後で複素数を学ぶときにも現れる。有理数(や実数)を係数にもつ方程式では、無理数の解や虚数の解は必ず「共役の組」で現れる。たとえば が解なら も解で、 と係数がすべて有理数になる。係数比較の裏には、この共役の対称性がひそんでいる。

(1) 証明参照 (2)

別解

別解 — 連立を行列式(クラメルの公式)で解く(得意な人向けの視点)。 (1)から の係数どうし・定数どうしが等しいとおけて、

という 次連立が立つ。ここまでは本解と同じ。この連立を、 文字ずつ代入して消す代わりに、係数の行列式で一気に解く。

まず係数だけを並べた行列式を

とおく。 だから、この連立の解はただ 組に定まる。クラメルの公式では、 は係数行列の第 列を、 は第 列を、それぞれ右辺 に置きかえた行列式を で割って得られる。

代入消去(本解)が「 文字ずつ順に消す」手続きなのに対し、行列式で解くと「 なら解は一意」という事実まで同時に見える。本解と同じ を得る。

ポイント

  • (1) なら が有理数になり矛盾 →
  • (2)左辺を『(有理数)+(有理数)』に整理する
  • (1)より、 の係数・定数部分をそれぞれ等しいとおける(係数比較)

よくある間違い

  • (1)で の場合分け(背理法)をせず、いきなり と書いて証明になっていない。
  • (2)で を含む項と定数項を混ぜてしまい、(有理数)(有理数) の形に整理できない。
  • (2)で の符号を落とし、連立 などと立ててしまう。