数学I / 集合と命題
有理数・無理数と係数決定
問題
が無理数であることは証明なしに用いてよい。
(1) 有理数 について、 ならば であることを証明せよ。
(2) 有理数 が
を満たすとき、 の値を求めよ。
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(1) と仮定すると が有理数になってしまう — この矛盾で 、続いて 。(2)は左辺を『(有理数)(有理数)』の形に整理し、(1)を使って係数どうしを比べる。
解答・解説
方針
(1)『( 有理数)ならば 』を示す。もし なら となり、右辺は有理数。これは『 は無理数』に矛盾。だから 、続いて 。
(2)は(1)を使う。左辺を整理して『(有理数)+(有理数)』の形にし、右辺と比べる。 の係数どうし、 のない部分どうしが等しい、と2つの式を立てる(係数比較)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)は「もし だったら」と仮定してみるところから始まる。すると が有理数として書けてしまい、矛盾する。
この背理法が、無理数まわりの係数比較を支える土台になる。 の係数と定数部分を別々に等しいとおける根拠は、ここで作られる。
(2)はその(1)を道具として使う問題だ。まず等式を (有理数)(有理数) の形に整理するのが第一歩になる。
(1) で は有理数。もし なら、 について解けて
右辺は有理数どうしの計算なので有理数。つまり が有理数となり、『 は無理数』に矛盾する。だから 。 を に入れると 。よって 。(証明終わり)
(2) 左辺を、 を含む部分と含まない部分に整理する。
これが右辺 に等しい。
移項して
ここで と は有理数。(1)の結果『(有理数)+(有理数) なら両方0』を使うと
この連立を解く。2つ目から 。1つ目に入れて
よって
(1)の『係数比較ができる』ことが(2)のカギ。 の係数どうし、定数どうしを等しいとおけるのは、 が無理数だからだ。
発展 — 一歩先へ。 が有理数なら、等式の を に置きかえても、やはり正しい等式になる(共役をとる)。もとの式と共役の式を足したり引いたりすれば、有理部分と の部分がきれいに分離でき、係数比較と同じ連立が出てくる。
この「有理数係数の関係式では、 と が対等に振る舞う」性質は、 を解にもつ最も簡単な方程式が ( 次)であることの反映だ。
同じことは後で複素数を学ぶときにも現れる。有理数(や実数)を係数にもつ方程式では、無理数の解や虚数の解は必ず「共役の組」で現れる。たとえば が解なら も解で、 と係数がすべて有理数になる。係数比較の裏には、この共役の対称性がひそんでいる。
(1) 証明参照 (2)
別解
別解 — 連立を行列式(クラメルの公式)で解く(得意な人向けの視点)。 (1)から の係数どうし・定数どうしが等しいとおけて、
という 元 次連立が立つ。ここまでは本解と同じ。この連立を、 文字ずつ代入して消す代わりに、係数の行列式で一気に解く。
まず係数だけを並べた行列式を
とおく。 だから、この連立の解はただ 組に定まる。クラメルの公式では、 は係数行列の第 列を、 は第 列を、それぞれ右辺 に置きかえた行列式を で割って得られる。
代入消去(本解)が「 文字ずつ順に消す」手続きなのに対し、行列式で解くと「 なら解は一意」という事実まで同時に見える。本解と同じ を得る。
ポイント
- (1) なら が有理数になり矛盾 → 、
- (2)左辺を『(有理数)+(有理数)』に整理する
- (1)より、 の係数・定数部分をそれぞれ等しいとおける(係数比較)
よくある間違い
- (1)で の場合分け(背理法)をせず、いきなり と書いて証明になっていない。
- (2)で を含む項と定数項を混ぜてしまい、(有理数)(有理数) の形に整理できない。
- (2)で の の符号を落とし、連立 を などと立ててしまう。