数学I / 集合と命題

背理法による無理数の証明

★★★ 応用背理法無理数証明

問題

(1) が無理数であることを、背理法を用いて証明せよ。ただし、整数 について「 が偶数ならば は偶数である」ことは証明なしに用いてよい。

(2) (1)の結果を用いて、 が無理数であることを証明せよ。

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(1)(既約)と仮定し、 から が偶数 → も偶数、と既約に矛盾させる。(2)は を2乗すると が現れる — (1)の結果が効く。

解答・解説

方針

(1) が無理数であることを背理法で示す。有理数 (既約分数)と仮定し、 から が偶数、続いて も偶数となり、既約(共通因数なし)に矛盾する。

(2)は(1)を使う。 が有理数と仮定して2乗すると が出てきて、(1)の『 は無理数』に矛盾する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)は、よく知られた が無理数であることの証明と同じ型が使えるか試す。「既約分数と仮定して、偶数であることから矛盾を出す」流れだ。

(2)は(1)を道具として使う設計になっている。 を正面から攻めても取っかかりがない。

そこで注目するのが、 乗すると が現れることだ。 乗して(1)の結果に帰着させる、が急所になる。

重要背理法+既約分数:(既約)と仮定し、偶奇の矛盾を導く

(1) 背理法。 が有理数だと仮定し、これ以上約分できない分数(既約分数) で表せるとする。

両辺を2乗して分母をはらうと

右辺は偶数(6の倍数)なので は偶数、よって も偶数(『 偶数 → 偶数』を使う)。 とおくと

左辺は偶数なので も偶数、 は奇数だから が偶数、よって も偶数。すると が両方偶数になり、『 は既約(共通因数なし)』に矛盾する。よって は無理数。(証明終わり)

(2) (1)を使う。 が有理数 だと仮定する。2乗すると

これが (有理数)なので、 について解くと

右辺は有理数。つまり が有理数となり、(1)の『 は無理数』に矛盾する。よって は無理数。(証明終わり)

(1)は『既約分数と仮定 → 両方偶数で矛盾』という、 が無理数の証明と同じ型。(2)は2乗して を作り、(1)に帰着させるのがうまい手だ。

発展 — 一歩先へ。 (1)の主張は、もっと広い形に一般化できる。自然数 について、 が有理数になるのは が平方数のとき、そのときに限る。

理由は有理数解の一般則(有理根定理)で説明できる。 の解だ。最高次の係数が の整数係数方程式では、有理数の解は必ず整数になる。整数を 乗して になるものが無ければ、 は無理数だ。

の間にあり、 乗して になる整数はない。だから は無理数、と一言で片づく。同じ理屈は など高次の累乗根にもそのまま伸びていく。

(1)(2)とも背理法による(証明参照)

別解

別解 — 素因数の個数の偶奇で(1)を示す(得意な人向けの視点)。 既約分数を持ち出さなくても、素因数を数えるだけで矛盾が出る。

が有理数なら、正の整数 と書ける(既約でなくてよい)。両辺を 乗して

ここで、素因数 が何個含まれるかを両辺で数える。左辺 に含まれる の個数は、 に含まれる個数の 倍だから偶数。

右辺 では、 の分が偶数個、そこに 個だけ足されるので合計は奇数。偶数と奇数は等しくなれない。これが矛盾だ。よって は無理数。

既約性の議論を経る本解に対し、こちらは「平方数では各素因数がちょうど偶数個」という事実を突く。 の中の がただ 個(奇数個)なのが決め手だ。本解(1)と同じく、 が無理数であることに別の道からたどり着く。

ポイント

  • (1)既約分数と仮定 → が両方偶数で矛盾
  • 偶数 → 偶数』を使う
  • (2)は2乗して を作り、(1)の結果に矛盾させる

よくある間違い

  • (1)で既約分数(共通因数なし)と仮定するのを忘れ、 が両方偶数でも矛盾に持ち込めない。
  • (1)で から「 は奇数だから が偶数、よって も偶数」の一手を飛ばす。
  • (2)で 乗して を作る工夫に気づかず、直接無理数と示そうとして詰まる。