数学I / 集合と命題

対偶を利用する証明の応用

★★★ 応用対偶法証明

問題

次の命題を、対偶を利用して証明せよ。

(1) 実数 について、 ならば「 または 」である。

(2) 整数 について、 が奇数ならば は偶数である。

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『または』『かつ』は対偶を取ると入れかわる。(1)対偶は『 かつ 』。(2)は『 奇数』の対偶を、 の偶奇で。 等と置いて計算。

解答・解説

方針

(1)(2)とも、対偶を証明する。

(1)『 ならば または 』の対偶は『 かつ ならば 』(『または』の否定は『かつ』)。

(2)『 が奇数ならば は偶数』の対偶は『 が奇数ならば は偶数』。 が奇数 ⇔ ともに奇数。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「または」を含む結論は、そのままでは直接示しにくい。

ところが否定すると「または」は「かつ」に変わる。 または の否定は、 かつ つの条件が同時に成り立つ形になり、ぐっと扱いやすくなる。

このド・モルガンの感覚が、対偶に乗り換える動機だ。否定した仮定のほうが計算の回る形になっていないか、を判断の目安にする。

重要「または」を含む結論は、対偶をとると「かつ」の否定になり示しやすい

どちらも対偶を証明する。

(1) もとの命題『 ならば または 』の対偶は、結論『 または 』を否定して

かつ ならば

(『または』の否定は『かつ』。) なら、足して

となり 。対偶が示せたので、もとの命題も真。(証明終わり)

(2) もとの命題『 が奇数ならば は偶数』の対偶は

が奇数ならば は偶数』

が奇数になるのは、 がともに奇数のとき。( は整数)とおくと

の形なので偶数。対偶が示せたので、もとの命題も真。(証明終わり)

まとめ:どちらも『結論を否定した対偶のほうが、具体的に計算できる』のがポイント。特に『または』の否定が『かつ』になることに注意しよう。

発展 — 一歩先へ。 (1)は「 数の和が を超えるなら、少なくとも一方は を超える」と読める。これは平均の考え方の一例だ。

一般に、 個の数 の和が を超えるなら、少なくとも つは を超える。もし全部が 以下なら、和は 以下にしかならないからだ(対偶)。

「全部が平均以下なら、和は平均かける個数以下」という当たり前の事実が、こういう存在の主張を生む。個数と合計から「飛び抜けた つ」の存在を導くこの論法は、鳩の巣原理とも通じる強力な道具になる。

(1)(2)とも対偶(証明参照)を示せばよい

別解

別解 — 対偶を経由せず直接示す(別の証明の型)。 対偶をとらなくても、仮定から結論をまっすぐ導ける。

(1) を仮定する。もし ならそれで結論は成り立つ。そうでない場合、すなわち のときを考える。このとき

となり 。だからどちらの場合も「 または 」が言える。

(2) が奇数と仮定する。和が奇数になるのは、 の一方が奇数・他方が偶数のときだけだ(偶数どうし・奇数どうしの和は偶数)。平方の偶奇はもとの数の偶奇と同じ。だから の一方が奇数・他方が偶数。すると積 は偶数を因数に含み、偶数になる。

対偶で結論を裏返す本解に対し、こちらは仮定を場合分けして結論へ直進する。同じことが示せる。

ポイント

  • 直接示しにくい命題は対偶を証明する
  • または 』の否定は『 でない かつ でない』
  • が奇数 ⇔ ともに奇数( とおける)

よくある間違い

  • または 」の否定を「または」のままにし、対偶を「 または 」と誤る(正しくは「かつ」)。
  • (2)で「 が奇数 ともに奇数」の言いかえに気づかず、 と置けない。
  • 対偶をとるとき仮定だけ否定して結論の否定を忘れる(あるいは逆)、と裏・対偶を混同する。