数学I / 2次関数のグラフと最大・最小

定義域が動く場合の最大値・最小値

★★★ 応用最大・最小場合分け定義域

問題

を実数の定数とし、関数 の定義域を とする。

(1) の最小値 を求めよ。

(2) の最大値 を求めよ。

ヒントを見る

(1)最小は、動く窓と固定の頂点の位置関係で3場合。(2)最大は端 — 窓の中央が頂点より左か右かで、遠い端(=最大をとる端)が入れかわる。

解答・解説

方針

(頂点 )で、定義域 (幅2の窓)が動く。

(1)最小 は、頂点と窓の位置で3場合分け。(2)最大 は、窓の両端のうち頂点から遠いほうでとる。窓の中央 が頂点2のどちら側かで、左端・右端が分かれる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の窓が動く中で、最大と最小の両方を問われている。

ここで大事なのは、最大と最小で支配する原理が違うことだ。最小は「頂点が窓の中にあるか」で決まる。最大は「窓のどちらの端が頂点から遠いか」で決まる。

つを混ぜず、別々の場合分けとして設計する。これがこの問題の出発点になる。

公式定義域(窓)が動く:最小は頂点と窓の位置で3場合、最大は窓の中央が頂点の左右どちらかで端が決まる

平方完成する。

頂点 、下に凸。定義域 (幅2の窓)が動く。

① 最小 を求める。

xyO最小aa+2
最小値の例(a = 1): 軸 x = 2 が定義域 [1, 3] 内 → 頂点で最小

頂点 が窓のどこにあるかで場合分け。

窓が頂点より左()なら右端で最小。

窓が頂点を含む()なら頂点で最小。

窓が頂点より右()なら左端で最小。

② 最大 を求める。

xyO最大a+1
最大値の例(a = 0): 中央 a+1 = 1 が軸より左 → 軸から遠い左端で最大

下に凸の最大は、窓の両端のうち頂点2から遠いほうでとる。窓の中央は

中央が頂点2より左()のとき、頂点は窓の右寄りにあり、左端 が遠い。

中央が頂点2より右()のとき、右端 が遠い。

(境目 では両端が同じ高さ。)

まとめ:最小は頂点と窓の位置で3場合、最大は窓の中央と頂点の位置で2場合。どちらもグラフをかいて『頂点から近い・遠い』を見るのがコツだ。

発展 — 一歩先へ。 は、幅 の窓を位置 でずらしながら、その窓の中の最小値・最大値を読み取ったものだ。これは「移動窓の最小・最大」と呼ばれ、信号処理や画像処理の基本的な操作になっている。

とくに には平らな部分がある。窓が頂点をまたぐ間()、窓の中の最小はずっと のまま動かない。移動窓の最小をとると、谷が平らにならされて広がる。この「最小フィルタ」は画像処理では収縮(エロージョン)、最大をとる「最大フィルタ」は膨張(ダイレーション)と呼ばれる。

つの放物線から、窓を動かすだけで (下に平らな谷をもつ曲線)と ( 字に折れる曲線)という別々の形が生まれる。もとの関数と、窓越しに見た関数は別物になる、という視点が面白いところだ。

(1) のとき のとき のとき (2) のとき のとき

別解

別解 — 頂点を原点に移し、距離だけで考える(苦手な人向けの視覚ルート)。 と置いて、頂点が原点に来るようにずらす。すると で、定義域 では になる。

こうすると問題は「区間 の上で が最小・最大になる場所」に化ける。 は原点から遠いほど大きい。話が、原点(=頂点)からの距離だけになった。

最小は、区間が原点 をまたぐ(、すなわち )なら、原点で の最小は 。またがないなら、 に近い端で最小。

最大は、区間の両端 のうち から遠いほう。 を比べると、 となるのは のとき。だから では左端が遠くて最大、 では右端が遠くて最大。

「窓の中央と頂点」を追う本解に対し、こちらは「原点からの距離」だけを見る。同じ場合分けの境目()にたどり着き、本解と同じ が得られる。

ポイント

  • 定義域が動く最小は頂点と窓の位置で3場合分け
  • 最大は端。窓の中央と頂点の位置関係で、遠いほうの端でとる
  • 最小と最大で、場合分けの基準が違う

よくある間違い

  • 最大で、頂点から遠いほうの端でなく近いほうの端を選んでしまう。
  • 最小の場合分け()と最大の場合分け()の境目を、同じものと思い込んで取り違える。
  • 窓の幅が で固定なことを忘れ、 を独立に動かして場合分けを増やしてしまう。