数学I / 2次方程式・2次不等式

奇数係数の2次方程式と有理数解

最難関編有理数解偶奇の論証

問題

がすべて奇数のとき、2次方程式 は有理数の解をもたないことを示せ。

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有理数解は既約分数とおいて分母を払うのが第一手。得られた整数の等式を「偶数か奇数か」だけの目で見る — の偶奇の組合せは(互いに素だから)3通りしかない。それぞれで左辺の偶奇はどうなるか。

解答・解説

方針

有理数解 p/q(既約)があると仮定して分母を払うと ap²+bpq+cq²=0。p, q は互いに素だから「両方偶数」はなく、(奇,奇)(奇,偶)(偶,奇) の3通りを偶奇で調べる。どの場合も左辺が奇数となり、0(偶数)になれず矛盾する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「有理数解をもたない」は、背理法+既約分数の型だ。解 ( は互いに素、)を代入して分母を払えば、整数の等式

に翻訳される。

あとはこの等式を、偶奇(2で割った余り)の目で見る。右辺の0は偶数。だから「左辺が必ず奇数になる」ことを言えば矛盾だ。

は互いに素なので「両方偶数」はあり得ない。偶奇の組合せは3通りだけ。どの場合も、 が奇数であることが効いて、左辺は奇数に追い込まれる。

重要有理数解は既約分数で分母を払う。互いに素な の偶奇は(奇,奇)(奇,偶)(偶,奇)の3通り — 完全な場合分けで偶奇を追う

① 設定。 有理数解 ( 互いに素)があると仮定し、 を掛けて

② 偶奇の3通りを調べる。 奇数×奇数=奇数、奇数×偶数=偶数に注意する( はすべて奇数):

  • : 奇 + 奇 + 奇 = 奇+奇+奇 = 奇数
  • : 奇 + 偶 + 偶 = 奇数
  • : 偶 + 偶 + 奇 = 奇数

③ 矛盾。 どの場合も左辺は奇数。しかし右辺は (偶数)。矛盾するから、有理数解は存在しない。

まとめ: 既約分数で払い、偶奇を完全に場合分けする。係数の奇数性が、3つの場合すべてで奇数を1個以上生き残らせる。この勘定が証明の心臓部だ。たとえば も、解は(実数解があってもなくても)決して分数では書けない。判別式を一切使わない、余りの世界だけの結論である。

証明(既約分数 を代入し、 の偶奇3通りすべてで が奇数になって0になれない)

別解

判別式を「平方数の目」で見る別証明(得意な人向け)。 整数係数の2次方程式が有理数解をもつとする。解の公式から、()が有理数でなければならない。整数の平方根が有理数になるのは平方数のときだけ。つまり は平方数だ。

そこで を8で割った余りを調べる。

  • は奇数なので とおくと は連続2整数の積で必ず偶数。よって は8で割って1余る
  • は奇数×奇数で奇数。よって は8で割って4余る

したがって を8で割った余りは

ところが、平方数を8で割った余りは のどれかしかない。偶数の平方は 、奇数の平方は上の計算どおり だからだ。余り5の は平方数になれない。よって有理数解は存在しない。

「平方数は8で割ると 」というフィルタは、整数問題の全域で使い回せる強力な道具だ。

ポイント

  • 既約分数
  • 互いに素 → 偶奇は3通り、すべて左辺が奇数。
  • 奇数 ≠ 0(偶数)で矛盾 — 判別式不要の論法。

よくある間違い

  • 「整数解がない」ことだけ示して答案を閉じる。問われているのは有理数解。既約分数 の設定(互いに素)から始めないと届かない。
  • の偶奇の場合分けに(偶, 偶)を含めてしまう。互いに素の仮定に反する組だ。「両方偶数なら2で約分できる」と一言添えて、3通りで尽きる理由を明示する。
  • 整数解の場合()を別扱いし忘れたと不安になる。 は奇数なので(奇, 奇)または(偶, 奇)に含まれている。場合分けが網羅になっていることを自分の言葉で確認する。