数学I / 2次方程式・2次不等式

3つの値のどれかは 1/2 以上

最難関編評価2階の差

問題

を実数とし、 とする。

(1) が成り立つことを示せ。

(2) のうち少なくとも1つは 以上であることを示せ。

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(1)の左辺の組合せ(1, −2, 1)は、1次式に施すと必ず0になる「差の差」。(2)では、(1)の等式の右辺2を、3つの絶対値で上から見積もる — 全部が 未満だったら、2に届くか。

解答・解説

方針

(1) x², px, q それぞれに 1−2·(中)+(右) の組合せを施すと、1次以下は消えて x² の分だけが 1−8+9=2 と生き残る。(2) 2=|f(1)−2f(2)+f(3)| ≤ |f(1)|+2|f(2)|+|f(3)| ≤ 4max。逆算で max ≥ 1/2。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 係数 の組合せは「2階の差」(差の差)だ。1次式 に施すと必ず0になる。 の成分だけが と生き残る。つまり は、 によらない不変量である。

(2)はその逆用だ。もし3つの値がすべて 未満なら、三角不等式で

となり、「2が2未満」という矛盾が出る。どんなに係数を調整しても、放物線は3点 すべてで軸の近くに潜ることはできない。曲がり(2次の係数1)が邪魔をするのだ。

重要2階の差 は1次以下を消し、 の曲がりだけを取り出す不変量。評価は三角不等式で「全部小さいと総和が足りない」形に

① (1) を示す。 各成分ごとに計算する:

よって

② (2) を背理法で示す。 3つとも 未満と仮定する。三角不等式より

となって矛盾。よって少なくとも1つは 以上である。

xyO123
等号を実現する f(x)=x²−4x+7/2。x=1,2,3 で +1/2, −1/2, +1/2(赤点)と振動し、帯 |y|≤1/2(破線)にぎりぎり収まる — これ以上は潜れない

③ 評価の鋭さ。 は改良できない。実際、 となる。3点で交互に をとる、等号ぎりぎりの「振動する放物線」が実在するのだ。

まとめ: の重みで1次以下を消し、2次の曲がりを不変量として取り出す。あとは三角不等式で逆算する。「多項式の値は同時に小さくできない」という近似理論の入り口に立つ名問だ。

発展 — 一歩先へ。 実は3つの点だけでなく、区間 全体でも にはできない。③の等号例がぎりぎりの限界で、これより潜ろうとすると区間のどこかが 以上になる。「係数1の多項式は、区間の上でどこまで0の近くに潜れるか」。この問いはチェビシェフ多項式という理論の入り口で、本問はその2次版にあたる。

(1) 1次以下の部分が消える(証明) (2) 三角不等式で (証明)。なお等号は 型で実現

別解

3点の値が式を決める、という逆向きの視点(得意な人向け)。 2次式は3点での値で完全に決まる。逆に言うと、 の3つの値は自由に選べない。

実際、どんな2次式 でも

が成り立つ。展開すれば で、1次以下は消えるからだ。本問は なので 。(1)の等式は「3つの値は、曲がり具合に縛られている」ことの表現だったのである。

係数の組 の出どころも、この見方なら種明かしできる。3つの値をすべて幅 の箱に押し込んでみる。作れる「曲がり」は 未満にしかならない。係数1(曲がり2)に届かない。それが(2)の正体だ。

ポイント

  • の組合せで1次以下が消え、値は2。
  • 全部 未満なら の矛盾(三角不等式)。
  • 等号例 (±1/2 で振動)。

よくある間違い

  • 3つとも 未満になる例を探し続けて時間を失う。存在しないものは例では示せない。(1)の不変量からの背理法に切り替える。
  • 三角不等式で の係数2を落とす。 から という、等号例 と食い違う結論が出たら計算を疑う。
  • (2)を示して満足し、 がこれ以上強くできない値であること(等号例の存在)に触れない。評価の問題は「限界の例」まで添えると理解が締まる。