数学I / 2次方程式・2次不等式
3項の積和方程式は必ず実数解をもつ
問題
を実数とする。 の方程式
は必ず実数解をもつことを示せ。また、重解をもつのは がどのような場合かを求めよ。
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展開して判別式を計算すると、対称式 が現れる — この量が0以上であることを示す恒等式はなかったか。あるいは、 に そのものを代入した値の符号を眺めても道が開ける。
解答・解説
方針
展開すると 3x²−2(a+b+c)x+(ab+bc+ca)=0。判別式を計算し、(a+b+c)²−3(ab+bc+ca) が「差の平方和の半分」に等しいという恒等式で符号を確定する。別ルート: f(b)=(b−a)(b−c) は a≤b≤c と並べると0以下。グラフが x 軸に届く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 実数解の存在を示す道は、大きく二択だ。判別式か、値の符号(中間値の考え)か。
判別式ルートでは、対称式 の符号が問題になる。ここで恒等式
を思い出せると強い。右辺は差の平方和。0以上が即断できる。
もう1つの道は代入だ。 を入れると第2・第3項が消えて、 だけが残る。 と並べればこれは0以下。上に開く放物線が0以下の値をとるなら、 軸と必ず交わる。どちらの道でも景色が良い。
① 展開して判別式を計算する。 左辺を とすると
判別式は
右の恒等式は、両辺を展開すればどちらも になって一致する。よって実数解をもつ。
② 別の見方(代入)。 大小を と並べ替えても方程式は変わらない。 を代入すると
は上に開く放物線だ。値が0以下になる点があるから、グラフは 軸と共有点をもつ。実数解の存在が、グラフの言葉でも見える。
③ 重解の条件。 重解 ⟺ ⟺ 。実数の平方和が0になるのは、全部が0のときだけ。よって である。このとき方程式は となり、たしかに の重解をもつ。
まとめ: 対称な式には、対称式の恒等式か、対称な点の代入が効く。本命は「判別式が差の平方和に畳まれる」恒等式。裏の近道は代入 だ。重解の条件が という完全な対称の瞬間に一致するのも美しい。
発展 — 一歩先へ。 実はこの方程式の実数解は、必ず の最小値と最大値のあいだにある。別解の見方を使うと、その位置情報まで手に入る。解の存在だけでなく、解の居場所まで語れる式なのだ。
証明(判別式が )。重解 ⟺
別解
同符号の積の和で見る(得意な人向けの第3の視点)。 とおく。方程式は
と書ける。ここで が の最大値より大きいとしよう。すると はすべて正。積の和 は正になってしまい、0にはなれない。 が最小値より小さいときも同じだ。 はすべて負で、積の和はやはり正。
つまり、解が存在するなら必ず の最小値と最大値のあいだにある。
そのうえで存在を言うには、本解の材料を使えばよい。真ん中の値で 。遠方では (上に開く放物線)。符号が変わる区間それぞれに解がある。 とすれば「 側と のあいだ」「 と 側のあいだ」に1つずつだ。
判別式は「実数解があるか」だけを答える。この見方は「どこにあるか」まで教えてくれる。
ポイント
- (恒等式)。
- 別解: で符号の変化。
- 重解 ⟺ 。
よくある間違い
- 展開せずに「積の和だから正になりそう」と直感で誤断する。 が の間にあるときは負の積が混ざるので、符号は自明でない。
- 判別式の計算で の係数3を落とす。 の「3倍」が急所。
- 重解の条件を と書いて満足してしまう。 から「実数の平方和が0 ⟺ 各項0」で まで詰める。