数学I / 2次方程式・2次不等式
絶対値を含む方程式の実数解の個数
問題
を定数とする。方程式
の異なる実数解の個数を、 の値によって場合分けして答えよ。
ヒントを見る
の解の個数は、 のグラフと横線 の交点数で数えるのが確実。放物線の負の部分を上に折り返したグラフをかき、 を上下に動かす — 折り返しの山の高さが境目。
解答・解説
方針
の解の個数は、 のグラフと、横線 の交点の個数、と見るのがいちばんわかりやすい。
の負の部分を折り返した『絶対値のグラフ』をかき、 を上下に動かして交点数を数える。折り返しの山の高さがカギ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 文字定数 を含む方程式の「解の個数」を問われている。
方程式のまま押すのは大変だ。そこで のグラフと、水平線 の交点の個数で数える、とグラフの問題に翻訳する。ここが発想の転換点だ。
絶対値のグラフは、もとの放物線の負の部分を上へ折り返すだけでできる。
あとは水平線 を下から上へ動かす。交点の個数が変わる高さ、とくに折り返しの山の頂上に注目して読み取る。
の解の個数は、 のグラフと横線 の交点の個数で数える。
は で 軸を横切り、その間で負。絶対値をつけると、負の部分が上に折り返される。折り返してできる山の高さは、もとの頂点 を折り返した で、高さ4。
横線 を下から上に動かして交点数を数える。
- : 横線が下すぎて交わらない。0個
- : 軸(折り返しの底2か所)で接する。 の2個
- : 山の左右と、外側の2か所で交わる。4個
- : 山の頂上 で1点、外側で2点。3個
- : 山を越えて、外側の2か所だけ。2個
式でも確かめられる。 は絶対値を外すと
の2つ。(A)を整理した の判別式は
(B)を整理した の判別式は
(A)は の符号、(B)は の符号で解の個数が決まる。ただし では(A)と(B)が同じ式になり、 では(B)が重解になるなど、重なりの調整が要る。だから、グラフで数えるほうが間違えにくい。
まとめ:絶対値の方程式の解の個数は、『グラフと横線 の交点』で数えるのが確実。折り返しの山の高さ(ここでは4)を境に、個数が変わる。
発展 — 一歩先へ。 のグラフに水平線 を当てて交点を数える見方は、そのまま一般の に使える。
個数が切り替わる は、グラフの特別な高さで起きる。まず になる高さ(、折り返しの谷)。つぎに折り返してできた山の頂上の高さ(、もとの頂点 を折り返した値)。
一般に の解の個数が変わるのは、 の値が になる高さと、 の極値の高さの絶対値。これらの臨界の高さが、 の数直線を「個数が一定の区間」に区切る。パラメータ ごとに交点数を追うのは、グラフを高さで輪切りにして数える見方だ。
: 個、: 個、: 個、: 個、: 個
別解
別解 — と置いて、 以上の を数える(得意な人向けの代数的視点)。 グラフを描くかわりに、 を つの正の量にまとめてしまう。
だから、 と置くと で、方程式は になる。
なら は存在せず、 も 個。 なら で、 の 個。 なら から
ここで大事なのは、 なら の 個、 なら の 個、 なら は無い、という対応だ。
は でつねに正だから、いつも を 個生む。もう一方の は、 なら正で 個、 なら になって 個、 なら負で 個。
足し合わせると、 で 個、 で 個、 で 個。グラフの折り返しを見る本解と同じ答えが、 の個数勘定から出る。とくに で が ただ つを生むことが、山の頂上でちょうど 個になる正体だ。
ポイント
- の解 = のグラフと の交点
- 負の部分を上に折り返してグラフをかく
- 折り返しの山の高さ(4)を境に、交点数が変わる
よくある間違い
- 絶対値を外さずに解こうとして、 の側から来る解を丸ごと落とす。
- で と が同じ式になるのに、別々に数えて 個を 個にする。
- 折り返しの山の高さ を境目と気づかず、 の重解(接点)を 個と数えて 個にし損なう。