数学I / 実数と1次不等式

3つの平方根の和の無理性

最難関編無理数背理法

問題

(1) が無理数であることを示せ。

(2) が無理数であることを示せ。

ヒントを見る

根号が3種類 — 一度の2乗では消えない。1つを移項して2乗、残ったものをまた孤立させて2乗 — 最後に生き残る根号は何か。その1つがつぶせれば全体が崩れる(それが(1)の役目)。

解答・解説

方針

(2)を有理数 r と仮定して √5 を移項し、2乗すると √6 が残る。もう一度整理して2乗すると、今度は √30 だけが孤立して「r の式=√30」の形になり、(1)と矛盾する。「2乗するたびに根号が1種類ずつ減る」設計。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 根号が3種類あると、1回の平方では消えない。だが「孤立させて2乗」を繰り返すと、根号は1段ずつ減っていく。

を有理数と仮定しよう。 を移項して平方すると が残る。それを孤立させてもう一度平方すると、最後に が1つだけ、有理数の式で書けてしまう。

とどめを刺すのが(1)だ。 の無理性を、既約分数と偶奇の定番の背理法で先に確保しておく。

重要多重根号ほどきの設計: 孤立させて平方 → 根号が1種類ずつ減る。最後に残る1つの無理性((1))が全体の背理法を締める

① (1) の無理性。 ( は互いに素な正の整数)と仮定すると 。右辺は偶数だから は偶数だ。 とおくと 、つまり 。左辺は偶数で は奇数だから、 は偶数。 も偶数となり、 が互いに素であることに矛盾する。よって は無理数。

② 1回目の平方。 が有理数と仮定する。 の両辺を2乗:

③ 2回目の平方でとどめ。 の両辺を2乗すると

これはうまく消えない( が残る)。そこで②の を、そのまま2乗する方が早い:

なので割ってよい。右辺は有理数の四則だけでできているから、有理数だ。これは(1)に矛盾する。よって は無理数である。

まとめ: 平方のたびに と、根号の種類が減って1つに絞られていく。多重根号の背理法は、最後に孤立する根号を先に仕留めておく(小問(1))のが答案の設計だ。(2項)の一段上として、消し切る腕力を測る問題である。

発展 — 一歩先へ。 実は (相異なる素数)はすべて無理数だ。「孤立させて平方」を繰り返す本問の設計は、原理的にはそのまま伸びていく(式の次数は倍々に増えるが)。

(1) 既約分数と偶奇の背理法 (2) 有理数と仮定し、2回の平方で が有理数になって矛盾

別解

消す順番を変える(得意な人向け)。 本解は にとどめを任せた。実は消す順番を工夫すると、とどめの根号をもっと軽い にできる。

②の を、今度は の項が右に孤立するように整理する:

両辺を2乗すると

が有理数なら右辺は有理数。ところが は無理数だ( から が偶数、 から も偶数、と(1)と同じ偶奇の背理法)。矛盾。

同じ2回の平方でも、どの根号を孤立させるかで「最後に生き残る1個」が変わる。 より の方が、無理性の証明も軽い。消去の設計は一通りではない、という見本だ。

ポイント

  • : 既約分数+偶奇の背理法。
  • 移項して平方 →
  • もう一度平方で が有理式に — 矛盾。

よくある間違い

  • 3項をいきなり2乗して、 が一度に湧いて散らかる。移項して「孤立させてから」平方するのが鉄則。
  • (1)の使いどころを見失う。小問は「最後に残る根号を先に仕留めておく」ための伏線だ。
  • の形にするとき、()の確認なしに で割る。