数学I / 実数と1次不等式
相加相乗の等号が使えない最小値
問題
を実数とするとき、 の最小値を求めよ。
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根号を1文字に置き換えると見慣れた形になる — ただし置き換えた文字の動ける範囲を必ず確認すること。相加相乗の等号が成り立つ値は、その範囲に入っているか。入っていないなら、代わりに何で最小を決めるか。
解答・解説
方針
t=√(x²+4) とおくと式は t+1/t に化けるが、t の動く範囲は t≥2。相加相乗の等号 t=1 は範囲外で使えない。t+1/t が t≥1 で増加することを差の因数分解で示し、範囲の左端 t=2 で最小と結論する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 とおくと 。式は
に化ける。相加相乗で 、とやりたくなるところだ。
だが待ってほしい。等号 が成り立つには が必要で、実数 では不可能だ()。「」自体は正しい。しかし2には届かない。届かない下界は最小値ではない。
範囲つきの は、 で増加することを示して、範囲の左端 で最小と締める。これが正しい設計だ。
① 置き換える。 とおく。( で 、それ以外で )で、
② の増加を示す()。 に対し
だから、最後の因子は正だ。よって の範囲では で最小になる。
③ 最小値。
は で実現する。よって最小値は 。
まとめ: 「」は万能ではない。最小値の生命線は、等号の実現可能性だ。等号が範囲外なら、単調性(差の因数分解)で端点に寄せる。この「相加相乗の等号が届かない」型は、根号や2次式の置き換えで頻出する有名な罠である。
発展 — 一歩先へ。 の最小が「2」と言えるのは、 が動ける範囲に入っているときだけだ。範囲が ()なら、最小は左端の になる。本問は の場合。数IIIに進むと微分で同じ結論を出せるが、「等号の実現可能性を疑う」目は、どの学年でも武器になる。
( のとき)
別解
答えの候補を引いて、因数分解する(1行で締まる別ルート)。 まず範囲の端 を代入してみる。値は 。これが最小の候補だ。
候補が立ったら、「つねに 以上」を直接示せばよい。 とおいて、差を計算する:
では 、、。よって差は0以上。等号は ()のときだけだ。最小値 が一撃で出る。
単調性の証明すら要らない。「端の値を予想して、引いて、因数分解で符号を見る」。最小値問題の強力な裏ルートだ。等号の場所が因数 にそのまま見えているのも気持ちいい。
ポイント
- で式は 。
- 等号 は範囲外 — 下界2は最小値でない。
- 増加性(差の因数分解)で左端 、最小値 。
よくある間違い
- 相加相乗で と書き、最小値2と答える。等号 は を要求し、実数では不可能。届かない下界は最小値ではない。
- と置き換えたのに、 の動ける範囲()を書かない。範囲のない置き換えは答案として未完成。
- 増加性を「グラフの形から明らか」で済ませる。数Iでは差をとって因数分解し、符号で示す。