数学I / 実数と1次不等式
整数部分の分割恒等式
問題
実数 に対し、 を超えない最大の整数を で表す。すべての実数 について、次の等式が成り立つことを示せ。
ヒントを見る
(整数はくくり出せる)を使えば、 は の場合だけ調べれば足りる。そのうえで、両辺の値が変わる「境目」はどこか — 区間を切って表を作れば終わる。
解答・解説
方針
x = n+f(n は整数、0≤f<1)と整数部分と小数部分に分けると、[x+k/3] や [3x] の値は f がどの「3分の1区間」にいるかだけで決まる。f の3区間で両辺をそれぞれ計算して一致を確かめる — 完全な場合分けが証明になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 整数部分の等式の定石は「整数を外へ、くくり出す」だ。(整数 )を使う。()とおけば、両辺から がそろって消える。調べるのは の場合だけでよくなる。
残った の世界で、 や の値が変わる境目はどこか。 の2か所だ。そこで3つの区間に切り、両辺を表にする。場合分けそのものが証明になる。
① 整数部分をくくり出す。 (、)とおくと
よって で を示せば十分だ()。
② 3区間で両辺を計算する。
- : 左辺 。 より右辺 ✓
- : 、 より左辺 。 より右辺 ✓
- : 、 より左辺 。 より右辺 ✓
③ 結論。 すべての区間で一致する。よって、すべての実数 で等式が成り立つ。
まとめ: 整数をくくり出して に帰着し、境目で区間を切る。整数部分の証明の完全な型だ。この等式は一般に と拡張でき( が本問)、同じ場合分けの設計がそのまま通る。
証明( とおき、 を 、、 の3つに場合分け)
別解
階段の歩幅で見る(得意な人向け)。 両辺を の関数として眺める。差 について、2つのことが言える。
まず、 を 増やすとどうなるか。左辺の3項は に入れ替わる。顔ぶれが1つずれただけで、 だから、左辺全体はちょうど1増える。右辺も でちょうど1増える。つまり差は変わらない:
次に、 では両辺とも0(直接計算)。だからこの区間で 。
2つを合わせる。 は幅 ごとに同じ値を繰り返す関数で、最初の区間で0。よってすべての実数で 、すなわち等式が成り立つ。
両辺は「幅 ごとに1段上がる、同じ階段」だった。そういう見方をすると、区間の表を作らなくても、階段の歩幅だけで証明が終わる。
ポイント
- で に帰着。
- 境目 の3区間で両辺を表にする。
- 一般形 の の場合。
よくある間違い
- 一般の のまま を式変形しようとして手が止まる。整数部分は「値の変わる境目で場合分けする」以外に計算の手がない。
- 区間の端( ちょうど等)をどちらに含めるかを曖昧にしたまま表を作る。半開区間 の形でそろえると、漏れも重複もない。
- が負の場合を別に調べようとする。 で に帰着した時点で、正負の区別は消えている。