数学I / 実数と1次不等式
1次不等式の解法(分数・小数係数)
問題
次の1次不等式を解け。
(1)
(2)
(3)
ヒントを見る
文字を左・数を右、負の係数で割ると向きが逆 — ここは基本どおり。(2)は分母をはらう、(3)は 倍して、まず係数を整数にしてから解く。
解答・解説
方針
1次不等式は、文字を左・数を右に集め、 の係数で割る。負で割ると不等号の向きが逆になる、が最重要ルール。
(2)は分数があるので、まず分母をはらって整数の式にする。(3)は小数なので10倍する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 分数・小数のまま進めると、移項のたびにミスを呼ぶ。
最初の一手は「係数を整数にそろえる」だ。分数は分母の最小公倍数を掛けて払う。小数は 倍する。
整数にしてしまえば、あとは中学と同じ移項の作業。警戒するのは1点だけ、負の数で割るときに不等号の向きが逆になることだ。
(1) 文字を左、数を右に集める。
(負)で割るので向きが逆になり
(2) 分数があるので、両辺に12(分母3と4の最小公倍数)をかけて分母をはらう。
の係数5は正なので、向きはそのまま。
(3) 小数があるので、両辺を10倍する。
(負)で割るので向きが逆になり
『負で割ると不等号が逆』を、毎回声に出して確認しよう。
発展 — 一歩先へ。 不等式の変形が等式と違うのは、実は「負を掛ける・割ると向きが変わる」の1点だけだ。
この1点が、この先いろいろな姿で再登場する。2次不等式ではグラフの上下として、数学IIの対数不等式では底が より小さいときの反転として。「大小を保つ操作か、ひっくり返す操作か」を意識する習慣が、全部に通じる背骨になる。
(1) (2) (3)
別解
「向きの反転」がどうしても不安な人には、反転を一度も使わないルートがある。 の係数が正になる側に集めるのだ。
(1) なら、 を右辺に集める。両辺から を引くと 。
さらに を引いて 。正の で割って 。
これは と同じことだ。負で割る場面が最初から現れないので、向きを間違えようがない。
どちらの辺に集めるかはこちらの自由、という当たり前の事実が、いちばん確実な事故防止装置になる。
ポイント
- 文字を左・数を右に集め、 の係数で割る
- 負の数で割ると、不等号の向きが逆になる
- 分数は分母をはらい、小数は10倍して整数に
よくある間違い
- 負の数で割るとき、不等号の向きを変え忘れる
- 分母をはらうとき、右辺の など一部の項に掛け忘れる
- 解を出したあと、範囲内の具体値(たとえば (1) なら )を元の式に入れて向きを確かめる検算をしない