数学I / 実数と1次不等式
コーシー・シュワルツの不等式
問題
実数 に対し が成り立つことを示し、等号が成り立つ条件を求めよ。
ヒントを見る
左辺 右辺を展開してみる。うまく整理すると つの完全平方 にまとまる。
解答・解説
方針
左辺 右辺を展開して整理すると、完全平方 になる。それが 以上であることから不等式が従う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 不等式の証明の基本は「差をとって 以上を示す」。
左辺 右辺を展開すると、 と は打ち消し合い、残った項がぴったり完全平方 にまとまる。
平方は 以上 — これで証明が終わり、等号条件(、つまり2組の比が等しい)まで同時に手に入る。「差が平方の和に畳まれる」のは、有名不等式に共通の骨格だ。
① 差を展開する。 左を展開すると 、右を展開すると 。差をとると ② 不等式。 だから すなわち 。
③ 等号条件。 等号は 、すなわち ()。これは と が比例する(平行)ことを意味する。
まとめ 差 。等号は (比例)。コーシー・シュワルツの不等式。不等式と平方の融合。
発展 — 一歩先へ。 この不等式はベクトルの言葉で ()— 内積と大きさの関係、つまり の代数版だ。判別式ルートは文字数によらないので 次元でも同じ3行で通り、数B・数Cのベクトル、そして統計の相関係数()まで、この1本の不等式が支えている。
両辺の差を計算すると 。等号は 、すなわち と が比例するとき。
別解
2次式の判別式から(「なぜ平方が出るのか」の種明かし)。 どんな実数 に対しても
は明らか。左辺を について展開すると
のとき、この2次式がすべての で 以上である条件は判別式 :
— 示したい不等式そのものだ( の場合は両辺 で自明)。等号は、ある で かつ 、すなわち が の定数倍のとき。
差の平方(本解)は最短の証明、判別式は「 個の2乗和でも同じ設計が通る」拡張性が売りだ。実際 から、 次元のコーシー・シュワルツが同じ3行で出る。
ポイント
- 差 (ラグランジュの恒等式)。
- 乗が 以上から不等式。
- 等号は ( と が比例)。
よくある間違い
- 展開の途中で の項を落とす(差にちょうど が現れて の交差項になる)。
- 等号条件を「」とだけ書いて、 や が の場合の表現()に触れない。
- 両辺が平方の形なので「両辺の平方根をとって 」から始めようとして、根号の扱いで迷子になる(差をとるのが先)。