数学I / データの分析
2つのグループを合わせた平均値と分散
問題
A班 人のテストの得点は平均値 点、分散 であり、B班 人の得点は平均値 点、分散 であった。A班とB班を合わせた 人全体の平均値と分散を求めよ。
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平均や分散は『足せない』量。でも総和と2乗の総和なら足せる。各班の2乗の総和を、分散の公式を逆に使って復元 → 合算 → 全体の分散へ。分散を単純平均しないのがカギ。
解答・解説
方針
平均 点・分散 のA班と、平均 点・分散 のB班を合わせたら?
平均は総和経由で素直に出る(人数が同じなので2つの平均のちょうど中間になる)。危ないのは分散だ。 と平均したくなるが、これは誤り。分散は平均からの距離で決まる量で、合併すると『全体の平均』という新しい基準点からの距離で測り直しになるからだ。
確実な手順は、公式の変形 で各班の『2乗の総和』を復元し、全体で合算してから全体の分散を計算すること。総和と2乗総和は、平均や分散とちがって単純に足せる量だ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 平均 点のA班と平均 点のB班を合わせる。平均は総和経由で素直に出る(人数が同じなら、ちょうど中間の 点)。
危ないのは分散だ。 と平均したくなるが、これは誤り。
分散は「平均からの距離」で決まる量だ。合併すると、基準点が各班の平均から「全体の平均 」に変わり、全員の距離が測り直しになる。2乗の総和を経由して計算し直すのが本筋である。
まず全体の平均値。 A班の総和は 点、B班の総和は 点なので、全体の平均値は
次に各班の『2乗の総和』を復元する。 分散の公式 を変形すると 。平均と分散から『2乗の平均』が逆算できる。
- A班: 、よって2乗の総和は
- B班: 、よって2乗の総和は
全体の分散。 2乗の総和は足してよい量なので、全体の2乗の平均は
よって全体の分散は
結論。 平均値 点、分散 。
まとめ:注目してほしいのは、分散 が各班の分散(、)のどちらよりも大きいことだ。合併後の散らばりには、各班の中での散らばりに加えて『班どうしの平均のずれ( と )』が新たな散らばりとして上乗せされる。A班の平均的な生徒も、全体平均 から見れば 点ずれているのだ。『分散の平均 』という誤答が、この上乗せ分を見落としていることも、これで納得できるだろう。
発展 — 一歩先へ。 「全体の散らばり=群の中+群の間」という分解は、統計学で分散分析と呼ばれる手法の心臓部だ。クラス間の学力差を語るとき、個人差(群内)と学級差(群間)を分けて見る、という発想である。
2つの平均が同じ班を合べたら( 点と 点)、部品②は になり、分散はちょうど分散の平均になる。誤答の が正解になる特別な場合まで言えると、理解は完全だ。
平均値 点、分散
別解
合併後の分散は、意味のある2つの部品に分解できる。この見方を知ると、 では足りない理由まで説明できる。
部品①は「各班の中の散らばり」。2つの班の分散の平均で、。
部品②は「班どうしのずれ」。各班の平均が全体平均 からどれだけ離れているかで、。
合併後の分散は、この2つの和で
という誤答は、部品②(班間のずれ)を丸ごと忘れた値だったのだ。「全体の散らばり=班の中の散らばり+班の間の散らばり」という分解は、人数が違う場合には重みつきの平均になるが、構造は同じである。
ポイント
- グループ統合の分散は「分散の平均」ではない — 2乗和に戻して計算する
- で各グループの2乗和を復元するのが定石
- 平均が異なるグループを合わせると、全体の分散は各グループの分散より大きくなりうる
よくある間違い
- 全体の分散を としてしまう(班間のずれの分が抜ける)
- 乗の総和と乗の平均を混同して、人数倍を忘れる
- の変形を使わず、乗の総和を復元できない