数学I / データの分析

データの修正と平均値・分散の変化

★★ 標準データの修正分散

問題

20人の生徒のテストの得点について、平均値は 点、分散は であった。ところが採点ミスが見つかり、 点だった1人は正しくは 点、 点だった1人は正しくは 点であることが分かった。

修正後の平均値と分散を求めよ。

ヒントを見る

個々のデータは不明。でも平均は総和で、分散は『2乗の総和』で決まる。だから追うべきは2つ — 総和がどれだけ変わるか、2乗の総和がどれだけ変わるか。 の変化をこの2つで見よう。

解答・解説

方針

人分のデータを再計算…と思いきや、個々の得点は与えられていない。あるのは修正前の平均と分散、そして2か所の修正内容だけだ。

ここで発想を変える。平均は総和で決まり、分散は(公式 を使えば)2乗の総和で決まる。だから『総和がどれだけ変わったか』『2乗の総和がどれだけ変わったか』の2つの増減だけ追えば、全データを知らなくても修正後の値が出せる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 20人分のデータを再計算、と思いきや、個々の得点は与えられていない。あるのは修正前の平均と分散、そして2か所の修正内容だけだ。

ここで発想を変える。平均は総和で決まる。分散は、公式 を使えば2乗の総和で決まる。

だから「総和がどれだけ変わったか」「2乗の総和がどれだけ変わったか」。この2つの増減だけを追えば、全データを知らなくても答えが出る。

公式分散 。平均が不変なら2乗の総和の変化だけ追えばよい

まず平均値の変化を調べる。 修正による総和の変化は

点の修正と 点の修正がちょうど打ち消し合い、総和は変わらない。よって平均値は修正後も 点のままだ。

次に2乗の総和の変化を調べる。 『総和が変わらないなら分散も変わらないのでは?』と思うかもしれないが、そうはいかない。分散が見ているのは値の位置ではなく、平均からの距離だからだ。分散の公式 で考えると、 は変わらないので、変化するのは だけ。2乗の総和の変化を、和と差の積で計算すると

( などとまじめに2乗するより、 のほうが速く正確だ。因数分解の公式は計算の道具でもある。)よって だけ増える。

修正後の分散。

自体の値を知らなくても、『元の分散 』の形に組み替えられるところが公式の威力だ。

結論。 平均値 点(変わらず)、分散

(直感でも確かめられる。 の修正はどちらも『平均 から遠ざかる』向きだ。だから散らばりが増えるのは自然で、分散の増加と合っている。)

発展 — 一歩先へ。 今回の修正は「平均から遠い側へ2人を動かした」ので、散らばりが増えて分散が上がった。逆に、平均へ近づける修正なら分散は下がる。数値の増減を、分布の形の変化として言葉にできると理解が締まる。

「集計量(総和・2乗の総和)さえ管理すれば個票は要らない」という考え方は、次の合併の問題や、数学Bの統計でも通用する実務的な発想だ。

平均値 点(変わらない)、分散

別解

平均が変わらないことを先に確かめると、「偏差の付け替え」だけで分散が出る近道が開く。

総和の変化は 。だから平均は 点のまま動かない。

平均が動かないなら、各人の偏差の基準も動かない。変わるのは修正された2人の偏差だけだ。

  • 1人目: 偏差 に。偏差の2乗は から へ、
  • 2人目: 偏差 に。偏差の2乗は から へ、

偏差の2乗の合計は 増える。人数 で割って、分散は

この近道は「平均不変」が前提であることに注意。平均が動く修正なら、全員の偏差が測り直しになるので、本解の2乗の総和ルートが安全だ。

ポイント

  • 修正の影響は「総和の変化」と「2乗和の変化」に分けて追跡する
  • を使うと、平均が変わらない場合は2乗和の変化だけで済む
  • 2乗の差は で計算すると速い
  • 結果の妥当性を「平均から遠ざかったか・近づいたか」で直感チェックする

よくある間違い

  • 総和が同じだから分散も変わらない、と早合点する(2乗の総和は変わる)
  • 2乗の総和の変化を人数で割らず、そのまま分散に足す
  • 偏差の近道を平均が動く場合にも使ってしまう(平均不変のときだけ許される)