数学I / データの分析
2組のデータを合併したときの分散
問題
同じ大きさ の 組のデータ がある。 の平均は 、分散は 、 の平均は 、分散は とする。 と を合わせた 個のデータ全体の分散 を、 で表せ。
ヒントを見る
各組で 。全体の 乗平均は 組の平均。全体平均 。。
解答・解説
方針
「 乗の平均−平均の 乗」を使う。各組の から全体の 乗平均を出し、全体平均の 乗を引く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 合併データの分散を定義から直接計算すると、和の分割が煩雑だ。「2乗の平均 平均の2乗」の変形を経由すると流れ作業になる。
各組で (分散の変形の逆読み)。同じ大きさ どうしの合併だから、全体の2乗平均は2組の単純平均:
。
全体平均 の2乗を引けば、合併の分散が出る。
① 全体平均。 大きさが等しいので ② 全体の 乗平均。 各組で 、。全体では ③ 分散。 後半は 。よって
まとめ 合併分散 (各分散の平均)。組内のばらつきに、組の平均差による項が加わる。分散と式変形(合併)の融合。
発展 — 一歩先へ。 サイズが と異なる一般の合併では、重み を使って — 群内・群間の2階建て構造は同じまま、重みが付くだけだ。この分解を多群に広げたものが分散分析(ANOVA)で、「差は群の中の揺れか、群の間の差か」を切り分ける統計学の主要道具になっている。
全体平均 。。。
別解
「群内+群間」の形に整理する(分散の2階建て分解)。 本解の結果を整理し直すと
という美しい2階建てになる(検算: の恒等式)。
読み方: 合併データの散らばりは、「各組の中での散らばり」と「組どうしの平均のずれ」の2つの寄与の和 — 平均が同じ()なら分散の単純平均、平均が離れているほど合併の分散は膨らむ。
この「群内・群間」の分解は、統計学で分散分析と呼ばれる手法の背骨そのもの。公式を丸暗記せず、2階建ての構造で持っておくと、組のサイズが違う一般の場合にも(重みを付けて)自力で再構成できる。
ポイント
- 各組で 。
- 全体平均 、。
- 。
よくある間違い
- 合併の分散を「分散の平均 」と答える(平均のずれの項 が抜ける — のときだけ正しい)。
- 全体平均を とする(同数の合併なら平均の平均 )。
- 組のサイズが違う設定(重み付き)に公式を丸写しする(本問の式は同数専用。一般には重み 等が付く)。