数学I / データの分析
度数分布表から平均値を求める
問題
ある班20人の通学時間を調べ、度数分布表に整理したところ、次のようになった。
- 分以上 分未満: 人
- 分以上 分未満: 人
- 分以上 分未満: 人
- 分以上 分未満: 人
各階級の階級値(階級の中央の値)を用いて、通学時間の平均値を求めよ。
ヒントを見る
各階級の人数はわかるが、1人ずつの正確な値は不明。そこで『その階級の全員が、階級のまん中の値だった』と見なす。その代表値と人数をかけて全部足す — 最後に何で割る?
解答・解説
方針
度数分布表には『 分以上 分未満が 人』としか書かれていない。3人の正確な値はわからない。では平均は計算できないのか。
ここでの約束はこうだ。各階級のデータは、すべて階級値(階級の両端の平均)をとると見なす。つまり『〜 分の3人は全員 分だった』と近似する。
あとは(階級値 × 度数)の総和を、総度数で割るだけだ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 度数分布表になった時点で、個々の生徒の値はもう分からない。「 分以上 分未満に 人」としか書かれていないからだ。
そこで「その階級の人は、みんな階級のまん中の値だったことにする」と割り切る。これが階級値(〜 なら 、〜 なら )。
割る数は人数の合計 であって、階級の個数 ではない。「何人で割るのか」を毎回声に出して確認すると間違えない。
まず階級値を求める。 各階級の階級値(両端の平均)は
(階級値 × 度数)の総和を計算する。 『 分の人が 人、 分の人が 人、…』と見なして総和をとる。
総度数で割る。 総度数は 人なので
ありがちなミスは、階級値の合計 を階級の数 で割ってしまうこと。これは各階級の人数のちがいを無視した計算で、正しくない。人数の多い階級ほど平均への影響が大きい、という感覚を大事にしたい。なお、度数分布表から求めた平均値は階級値で代表させた近似値で、もとのデータそのものの平均値とは少しずれることも頭に置いておく。
発展 — 一歩先へ。 階級値を使う計算は「分布を、階級のまん中に集めた点の集まりで代用する」という近似だ。階級の幅を狭くしていけば近似はよくなる。
この「区間を代表値で置きかえて、幅を掛けて足す」という操作は、実は積分の区分求積法とそっくりである。数IIIで学ぶ
と、度数分布の平均 は同じ発想でできている。階級を細かくする 積分の分割を細かくする。ヒストグラムの棒が、連続的な分布曲線に近づいていく — 高校数学の統計と解析は、この一点でつながっている。
平均値 分
別解
ここでも仮の平均からのズレで計算すると、数がぐっと小さくなる。手計算のときに効くやり方だ。
手順1: 仮の平均を、まん中あたりの階級値にとる。 ここでは 分としよう。
手順2: 各階級値の、 からのズレを書く。
| 階級値 | ||||
|---|---|---|---|---|
| ズレ | ||||
| 度数 |
手順3: ズレ 度数の合計を出す。
手順4: ズレの平均を、仮の平均に足す。
同じ答えになった。掛ける数が 桁で済み、 人いる階級の計算が で消えるのが気持ちいい。
この式には見どころがある。 度数 の階級(いちばん人数が多い)を仮平均に選ぶと、その項が丸ごと になる。いちばん重い階級を基準に選ぶのがコツだ。
もう一歩進んだ見方をしよう。この平均は
とも書ける。 は各階級の割合(足すと )。つまり平均とは「値を、その割合で重みづけして足したもの」— 加重平均だ。この形は、数Bの確率変数の期待値 とまったく同じ姿をしている。度数分布の平均は、期待値の練習問題なのである。
注意点も つ。階級値は「その階級の人はみんなまん中」という近似だから、この 分は真の平均とは少しずれる可能性がある。元データがあるなら、そちらから計算するのが正確だ。
ポイント
- 度数分布表の平均値は「」
- 階級値は階級の両端の平均
- 度数分布表から求めた平均値は近似値である
よくある間違い
- 階級値ではなく階級の下端や上端を使ってしまう
- 総度数(この場合20)ではなく階級の数(4)で割ってしまう
- 度数を掛けずに階級値だけを足して4で割る( の単純平均 は誤り。人数の重みを無視している)