数学I / データの分析
平均値・中央値・最頻値
問題
10人の生徒が受けた小テスト(10点満点)の得点は次の通りであった。
このデータの平均値、中央値、最頻値をそれぞれ求めよ。
ヒントを見る
『真ん中』を表す数は3種類ある(平均・中央値・最頻値)。それぞれ定義が違う。中央値は並べたときのまん中 — データが偶数個のとき、まん中は1個? それとも2個? そこが最初の分かれ目。
解答・解説
方針
『データの真ん中』を表す数は1つではない。平均値・中央値・最頻値という3人の代表がいて、それぞれ『真ん中』の意味がちがう。
- 平均値: 総和 ÷ 個数。全員の点数を均等にならした値。
- 中央値: 小さい順に並べたときの、まん中の値(偶数個ならまん中2つの平均)。
- 最頻値: いちばん多く出てくる値。
定義を確かめながら、同じデータから3つを出して比べてみる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 代表値が つ出てくる。それぞれ「どこを見るか」が違うので、混ぜないことが第一だ。
- 平均値: 全部足して個数で割る。データ全体をならした値
- 中央値: 小さい順に並べてまん中。個数が偶数なら、まん中 つの平均
- 最頻値: いちばん多く出てくる値。最大値ではない
まず小さい順に並べる。並べれば中央値も最頻値も目で読める。この問題は最初から並んでいるので、あとは数えるだけだ。
平均値。 総和を求めると
データは 個なので
中央値。 データはもう小さい順に並んでいる(並んでいない問題では、まず並べかえるところから始める。ここを省くと確実に間違う)。 個(偶数個)なので『ちょうどまん中の1個』はない。中央値は 番目と 番目の値の平均をとる。 番目は 、 番目は なので
最頻値。 各値の個数を数えると、 が 個で最も多い。よって
まとめ:結果は 、、。同じデータなのに『真ん中』が3つとも別の値になった。どれが正しいという話ではなく、目的で使い分ける。たとえば1人だけ100点のような極端な値が混ざると平均値は大きく引っぱられるが、中央値はほとんど動かない。ニュースで所得の代表値に中央値が使われるのは、このためだ。
発展 — 一歩先へ。 この つの代表値は、実は「中心からのズレを、どう測って最小にするか」という つの問いの つの答えである。
- ズレの 乗の和を最小にする点 → 平均値
- ズレの絶対値の和を最小にする点 → 中央値
- ズレが である個数を最大にする点 → 最頻値
たとえば を の 次関数と見て平方完成すると、 で最小になる。 次関数の最小値の議論が、そのまま統計に現れるのだ。
「中心はどこか」という素朴な問いに、測り方を変えると違う答えが返ってくる — どれが正しいかではなく、目的に応じて選ぶ。これが統計の基本姿勢である。
平均値 点、中央値 点、最頻値 点
別解
平均は「仮の平均からのズレの平均」で出せる。 大きな数の足し算を避けられる、実務的なテクニックだ。
手順1: 仮の平均をあてずっぽうで決める。 見た目から 点くらいだろう、と当たりをつける。
手順2: 各データが仮の平均からどれだけズレているかを書く。
手順3: ズレの合計を出す。 負の合計は 、正の合計は 。合わせて である。
手順4: ズレの平均を仮の平均に足す。
ズレの合計がちょうど — つまり仮の平均 がぴったり本当の平均だった。
この計算は、平均の正体を教えてくれる。 平均とは「プラスのズレとマイナスのズレがつり合う点」だ。データを数直線上の重りだと思うと、平均はシーソーの支点になる。だから偏差(平均からのズレ)の合計は必ず になる — この事実は分散の計算でも効いてくる。
つの代表値の性格の違いも見ておきたい。もし 点の生徒 人が、記録ミスで 点と入力されていたらどうなるか。
- 平均値: 点 → 点。たった 人で大暴れする
- 中央値: 点 → 点。びくともしない(まん中の順位は変わらないから)
平均は極端な値に弱く、中央値は強い。 世帯収入の統計で「平均年収」より「中央値」がよく引き合いに出されるのは、少数の大富豪に平均が引っ張られるからだ。代表値は つで済ませず、性格の違いを踏まえて選ぶ。
ポイント
- 平均値 = 総和 ÷ 個数、中央値 = 並べたときの中央、最頻値 = 最も多い値
- データが偶数個のときの中央値は「中央2つの平均」
- 3つの代表値は一般に一致しない — それぞれ違う情報を持つ
よくある間違い
- 偶数個のデータで5番目(または6番目)の値をそのまま中央値にしてしまう
- 最頻値を「最大値」と混同する
- 並べ替えずに中央値を読む(与えられた順が昇順とは限らない。必ず並べてから数える)