入試過去問 / 京都大学 2026年度 数学(理系)
第4問 正方形を含む正三角形の1辺の最小値
出典京都大学 令和8年度 一般選抜 数学(理系) 第4問
問題文は京都大学が公表した試験問題からの引用です。解答・解説はtelvia演習ラボが作成したもので、京都大学が公表したものではありません。
問題
平面において,次の条件 を満たす正三角形の 辺の長さの最小値を求めよ.
辺の長さが の正方形であって, つの頂点がすべてその正三角形の内部または辺上にあるようなものが存在する.
(35 点)
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正三角形を小さくしていくと、3辺とも正方形に触れた状態になる。正三角形の中の1点から3辺までの距離の和は、どんな量に等しかったか。
解答・解説
方針
3辺が正方形に触れる正三角形だけを考える。正方形の中心から各辺までの距離を辺の向き で表し、その和が正三角形の高さになることを使う。周期で の範囲を絞り、三角関数の和を1つにまとめて最小値を求める。
解答
⓪ 発想(どう考え始めるか) 正方形を含む正三角形は、3辺をそれぞれ平行に内側へずらして小さくできる。3辺とも正方形に触れるまでずらしたものが、その向きでいちばん小さい正三角形だ。
大きさを測るには、「正三角形の内部の点から3辺までの距離の和は、高さに等しい」ことを使う。正方形の中心から3辺までの距離は正方形と辺の向きだけで決まるので、高さが角度の式で書ける。あとは向きを動かして最小を探す。
① 3辺が正方形に触れる場合に絞る。 三角形は凸なので、4つの頂点が入れば正方形全体が入る。正方形を含む正三角形の各辺を、向きを変えずに内側へずらし、正方形に触れたところで止める。3本の直線の向きは変わらないので、できる図形も正三角形で、もとより小さいか同じ大きさである。よって、3辺とも正方形に触れる正三角形の中から最小のものを探せばよい。
② 中心から辺までの距離。 正方形の中心を原点、辺を座標軸に平行にとる。外向きの単位法線ベクトルが の直線が正方形に外から触れるとき、原点からその直線までの距離は、4頂点 と法線ベクトルの内積の最大値で
③ 正三角形の高さを で表す。 3辺の外向きの法線の向きは である。
(点と3頂点を結んで3つの三角形に分け、面積を足すと分かる。)原点は正三角形の内部にあるので、高さ は
1辺の長さは なので、 の最小を求めればよい。
④ 周期を使って の範囲を絞る。 は周期 をもつ。、 なので
右辺は を ずらしても、同じ3つの値の和になる( のため)。よって で調べればよい。
⑤ 三角関数の和を1つにまとめる。 では、3つの角 はどれも 以上 以下なので、絶対値が外れて となる。 とおくと、3つの項は で、
より
⑥ 最小値。 は から まで動く。この範囲は について対称なので、 は両端で最小値 をとる。
よって1辺の長さの最小値は
最小になるのは (または )のときで、正方形の1辺が正三角形の1辺の上にある配置である。実際、1辺 の正三角形の底辺に正方形を置くと、高さ のところの三角形の幅は で、上の2頂点がちょうど斜めの辺に乗る。
まとめ:正三角形を、3辺が正方形に触れるまで縮めた。中心から3辺までの距離の和(高さ)を向き の関数で表し、周期で範囲を絞ると三角関数の和が1つにまとまる。最小は正方形の1辺を底辺に置いたときだった。
発展。 高さが最大になるのは 、つまり のときで、1辺は になる。最小の との差は約 で、正方形の向きによる違いはそれほど大きくない。
別解
別解:最小の位置を上に凸であることから見つける。 ⑤ の変形をしなくても、 が で上に凸(グラフが山形)であることから、最小の位置が分かる。実際 である。
では、3つの角 がどれも に入ったまま動く。 は上に凸な関数3つの和なので、やはり上に凸だ。上に凸な関数の区間での最小値は端でとるので、 と を調べればよい。どちらも
で、本解と同じ値になる。 と は、どちらも正方形の1辺が正三角形の1辺に重なる配置を表している。
ポイント
- 4頂点が入れば正方形全体が入る。3辺を内側へずらして、正方形に触れる形に絞る。
- 中心から、法線の向きが の辺までの距離は 。3辺までの距離の和が高さ。
- 最小は正方形の1辺を正三角形の1辺に重ねたときで、1辺は 。
よくある間違い
- 正方形の1辺を底辺に置いた配置だけを計算して答え、傾けた配置のほうが小さくならないことを示さない。
- 正方形を 傾けた(対角線を立てた)配置が小さいと予想してしまう。実際はその向きで1辺が最も長くなる。
- 正三角形の高さと1辺の長さを取り違え、 を答えにしてしまう。1辺は高さの 倍である。