数学II / 図形と方程式
2点間の距離
問題
2点 、 の間の距離 を求めよ。
ヒントを見る
と を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形を図にかいてみよう。横の長さと縦の長さが分かれば、斜辺は三平方で出せる。
解答・解説
方針
横のずれと縦のずれを2辺とする直角三角形を考える。斜辺が で、三平方の定理で長さが出る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 点の距離は、三平方の定理そのものだ。
点を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形を、頭の中で(できれば図の上で)作る。
- 横の長さ: 座標の差
- 縦の長さ: 座標の差
斜辺は三平方の定理で。
公式として書くと
乗するので、引き算の順序はどちらでもよい( でも でも )。ここは気楽に構えてよいところだ。
の差は 、 の差は 。それぞれ2乗して足し、ルートをとる。
発展 — 一歩先へ。 「距離」の測り方は、実は 通りではない。
私たちがふだん使うのはユークリッド距離(直線距離)だ。
しかし、碁盤の目の街を歩くときはどうか。ビルを突っ切れないので、横に 進み、縦に 進むしかない。
これをマンハッタン距離という(ニューヨークの街路にちなむ)。同じ 点なのに、距離が にも にもなる。
「距離」とは、目的に応じて選ぶ物差しなのだ。
- ユークリッド距離: カラスが飛ぶ最短距離。幾何学の標準
- マンハッタン距離: 街を歩く距離。都市計画、回路設計
- チェビシェフ距離(): チェスの王が動く手数
数学は「距離とは何か」を抽象化した。 次の 条件を満たすものは、すべて距離と呼んでよい。
- 、 となるのは のときだけ
- (対称性)
- (三角不等式 — 寄り道すると長くなる)
この 条件を満たせば、何を距離と呼んでもよい。 文字列の「編集距離」(何文字変えれば別の文字列になるか)や、遺伝子の「進化距離」まで、同じ枠組みで扱える。
当たり前に見える の裏に、「測るとは何か」という深い問いがある。
別解
距離の公式は「三平方の定理の言い換え」にすぎない。 そのことを確認したうえで、 次元への拡張と、距離が主役になる場面を見ておこう。
まず、絵で確認する。
から真横に進んで まで行き、そこから真上に進んで に着く — カギ型の経路を考える。
- 横に進んだ距離:
- 縦に進んだ距離:
この 辺を持つ直角三角形の、斜辺が である。
、、 の直角三角形が現れた。教科書でおなじみの組だ。
距離の公式を「覚える」必要はない。 座標の差を 辺とする直角三角形を描けば、三平方の定理がすべてを教えてくれる。
次元でも、同じ形で拡張される。
たとえば と の距離は
なぜ 乗根ではなく、平方根のままなのか。 三平方の定理を 回使っているからだ。まず床の上で を出し、次にそれと高さ で直角三角形を作る()。 段重ねの三平方 — だから足す項が増えるだけで、根号の形は変わらない。
次元でも、 次元でも同じだ。 データ分析では、 個の特徴を持つデータ点どうしの「距離」を、この公式で測る。距離の概念は、次元を選ばない。
そして、距離が主役になる場面。
- 円: 「中心からの距離が一定」の点の集まり( 円の方程式)
- 垂直二等分線: 「 点から等距離」の点の集まり
- 楕円: 「 定点からの距離の和が一定」
- 放物線: 「定点と定直線からの距離が等しい」
この単元(そして数Cの 次曲線)は、「距離の条件」を「方程式」に翻訳する技術でできている。
距離の公式は、その翻訳の第一歩なのだ。 という式を書けることが、円も、軌跡も、すべての出発点になる。
ポイント
- 距離=(横の差)と(縦の差)で作る直角三角形の斜辺。
- 、、 の直角三角形になっている。
よくある間違い
- 座標の差と 座標の差を足してから2乗する(それぞれを2乗してから足す)
- 根号を外し忘れて と答える
- 座標の差を引く順序を気にして混乱する(2乗するので、どちらから引いても同じ)