数学II / 式と証明
(1+1/n)ⁿ が3を超えないこと
問題
を自然数とする。二項定理を用いて、不等式
が成り立つことを示せ。
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展開した第 項 を約分して、 を消した形で上から押さえられないか。押さえた量の和がそのままでは求まらないなら、さらに足しやすい形(和が求まる数列)まで粗くしてよい。
解答・解説
方針
二項定理で展開し、第 k 項を n によらない量で2段階に押さえる: まず約分して 1/k! 以下、さらに k! ≥ 2^{k−1} で等比の形に。等比数列の和は2未満なので、全体は 1+2=3 未満に収まる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 左辺は とともに変わるのに、右辺は定数3だ。つまり、展開の各項を によらない量で押さえて、足しても定数に収まることを示せばよい。
二項定理の第 項は 。分子の を で割ると、各因子が1以下になって が残る。
の和はそのままでは求まらない。だから、もう一段粗く で等比数列に落とす。2段階の評価が設計図だ。
① 第 項を で押さえる。 に対して
(最後の 個の因子はどれも1以下。)
② を等比で押さえる。 で だから
③ 足し上げる。
まとめ: 「 を消す評価(約分して )」→「和が求まる形への評価(等比 )」の2段構え。この量 は とともに増えて に近づくことが知られていて、本問の評価はその「上限が存在する」ことの入り口になっている。
発展 — 一歩先へ。 実は が について増加することも、同じ二項展開の項別比較で示せる。「増加し、上に押さえられている」— この2つがそろうと、行き着く先の数が存在する。それが自然対数の底 の誕生の仕方だ。
証明(展開の第 項を 、さらに で押さえて等比数列の和に帰着)
別解
第2段を部分分数で(もう1つの粗くし方)。 ②の の代わりに、 での
を使ってもよい( は を因数に含む)。すると
— 部分分数の望遠鏡が現れる。 の項()を別にして
等比数列の代わりに、隣どうしが打ち消し合う和で3未満に収めた。
「和が計算できる形まで粗くする」という第2段の設計には、等比(本解)と望遠鏡(本ルート)の少なくとも2つの選択肢がある。どちらでも同じ3に届く — 評価の道は一本ではない。
ポイント
- 第 項は約分して 以下( が消える)。
- で等比の形へ。
- 。
よくある間違い
- ①の約分(各因子 )を書かずに に飛ぶ。 が消える理由がこの1行。
- 等比数列の和を と等しいとする。 という厳密な不等号が最後の を支える。
- の項()の扱いを落として、答えが 未満などにずれる。和の開始位置をそろえて書く。