数学II / 三角関数
度とラジアンの変換
問題
(1) 、 をラジアンで表せ。
(2) 、 を度で表せ。
ヒントを見る
がラジアンで何にあたるか — この 本の対応さえ思い出せば、あとは比例配分で変換できる。
解答・解説
方針
ラジアンが変換の基本。度からラジアンは を、ラジアンから度は をかける。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 度とラジアンの変換は、たった 本の関係式から全部作れる。
これだけ覚える。 あとは比例計算だ。
(1) 度 → ラジアン: で割って、 を掛ける()。
(2) ラジアン → 度: で割って、 を掛ける()。
「 を に置きかえるだけ」 と覚えると、ラジアン → 度は暗算でできる。
(1) 度にラジアン換算の をかける。
(2) ラジアンに をかける。
発展 — 一歩先へ。 なぜ 周を に分けたのか。この数には、古代の名残がある。
古代バビロニアの 進法。 彼らは を基本の単位としていた( は で割り切れる — 約数がとても多い)。 年が約 日であることとも相まって、 が円の分割に選ばれたという。
時間の単位( 時間 分、 分 秒)も、この 進法の名残である。 年前の習慣が、今も腕時計の中で生きている。
しかし、数学と物理は を捨てた。 自然界に という数の必然性はないからだ。
代わりに現れたのが である。 円周と直径の比 — これは人間が決めた数ではなく、宇宙が決めた数だ。どんな文明が測っても、同じ になる。
「人間の都合の単位」から「自然の単位」へ。 これは科学の進歩に、繰り返し現れるパターンだ。
- 長さ: フィート(人の足の長さ)→ メートル(地球の子午線から定義、現在は光速で定義)
- 温度: 華氏(人の体温を基準)→ ケルビン(絶対零度を基準)
- 角度: 度( 分割)→ ラジアン(弧と半径の比)
「自然が採用している単位」で書き直すと、法則は必ずシンプルになる。 アインシュタインの も、光速を とする単位系では — これ以上ないほど簡潔になる。
ラジアンを学ぶことは、「自然の言葉」に一歩近づくことなのだ。
(1) 、 (2) 、
別解
そもそも、なぜラジアンなんてものを使うのか。 度( 分割)で困ることはなかったはずだ。この疑問に答えておこう。理由が分かれば、ラジアンが好きになる。
ラジアンの定義に立ち返る。
「弧の長さ 半径」が角度 — それがラジアンだ。
円周は だから、 周()は ラジアン。 半周()なら ラジアン ✓ — これが の正体である。
理由1: 弧の長さと面積の公式が、劇的に簡単になる。
| 度で書くと | ラジアンで書くと | |
|---|---|---|
| 弧の長さ | ||
| 扇形の面積 |
という数字が消え、 も消えた。 掛け算だけの、きれいな式になる。
理由2(こちらが本命): 微分の公式が、ラジアンでしか成り立たない。
数IIIで学ぶ、最も基本的な公式。
この美しい式は、 がラジアンのときにしか成り立たない。
もし度を使ったら
という、汚い係数がくっついてくる。 階微分すればその 乗、 階なら 乗 — 式が汚れ続ける。
その根っこにあるのが、この極限だ。
ラジアンだからこそ、この極限がぴったり になる。 度で測ると という半端な値になってしまう。
( が小さいとき) — この便利な近似も、ラジアンの世界でだけ成り立つ。振り子の運動方程式、光の回折、波の解析 — 物理のあらゆる場面で、この近似が使われている。
理由3: 単位がない(無次元)。
は「長さ 長さ」だから、単位が打ち消し合って消える。だからラジアンは、他の物理量と自由に掛けたり足したりできる。
度は「人間の都合( という数の割り切れやすさ)」で決めた単位。ラジアンは「数学の都合」で決めた単位。
そして、自然は数学の都合に従っている — だから物理も工学も、ラジアンを使う。
という変換に慣れることは、"数学の言葉"を身につけることなのだ。
ポイント
- が換算のかなめ。
- の前の分数がそのまま度に効く()。
よくある間違い
- としてしまう( が正しい)
- 度からラジアンへの変換で を掛けてしまう(度→ラジアンは 倍)
- 約分を忘れて のまま答える(既約分数に直す)