数学II / 軌跡と領域
絶対値を含む円の不等式の領域と面積
問題
不等式
の表す領域を図示し、その面積を求めよ。
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絶対値が2つ — 場合分けを4回書く前に、この不等式がもつ対称性に気づけるか。1つの象限に絞れば、見慣れた図形が現れる。その図形と座標軸の位置関係(とくに原点)をよく見て、はみ出す部分・欠ける部分を測る。
解答・解説
方針
x→−x、y→−y で不等式が変わらないので、領域は両軸対称 — 第1象限だけ調べて4倍する。第1象限では絶対値が外れて (x−1)²+(y−1)²≤2 の円板になり、この円は原点を通る。円板が座標軸で切られる部分を弓形(扇形−三角形)で計算する。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 としても としても不等式は変わらない。領域は両方の座標軸について対称だ。だから第1象限()だけ調べて4倍すればよい(境界の重なりは面積0)。
第1象限では絶対値がそのまま外れ、平方完成すると円板 。この円はちょうど原点を通る(中心 から原点までの距離が半径 に等しい)。この事実が、面積計算(弓形)と「4倍してよいか」の両方を支える。
① 第1象限に帰着する。 では
中心 、半径 の円板。求める領域の第1象限部分は、この円板のうち かつ の部分である。
② 円板から欠ける部分を弓形で測る。 円板のうち の部分は、弦 (中心からの距離1)で切られた弓形。中心角 は より 。弓形の面積は
側の弓形も同じ大きさ。しかも円は原点を通るから、2つの弓形は原点1点で接するだけで重ならない。よって第1象限部分の面積は
③ 対称性で4倍する。
領域全体は、中心 ・半径 の4つの合同な円板の和集合。となり合う円板は軸をまたいで重なるので、円板の面積を単純に4倍した は過大だ。象限で切って数えたのは、この二重数えを避けるためである。
まとめ: 「絶対値 → 対称性 → 1象限 → 平方完成 → 弓形」の5連鎖。円が原点を通る、という幾何的事実が、弓形の中心角()と「1つの円板から切り取る2つの弓形が重ならない」ことを保証する。平面を象限で分割して数えるのが安全な設計だ。
発展 — 一歩先へ。 境界の式を極座標で書くと 。1つの式が4枚の円を同時に描いている。絶対値入りの円の方程式は、極座標の目で見ると素性が読みやすくなることがある。
面積 (中心 ・半径 の4つの円板の和集合)
別解
包除原理で正面から足し引きする(得意な人向け)。 象限に切らず、4つの円板の和集合の面積を包除原理で数えることもできる。
各円板の面積は 、4枚で 。ここから重なりを引く。
となり合う円(たとえば中心 と )は、中心距離 、半径 。重なり(レンズ)の面積は、2つの弓形の和で
(中心角は より 。)となり合うペアは4組。
対角の円(中心 と )は、中心距離 がちょうど半径の和に等しく、原点で接するだけ。重なりは0。3枚以上の共通部分も原点1点のみで面積0。よって
象限分割(本解)は重なりを最初から発生させない設計、包除(本ルート)は重なりを正面から精算する設計。答えの一致が、レンズ面積の計算の検算にもなっている。
ポイント
- 両軸対称 → 第1象限では 。
- 軸に切られる弓形は中心角 で面積 ずつ。
- 象限あたり 、全体で 。
よくある間違い
- 円板4枚の面積をそのまま足して と答える。となり合う円板は軸ぞいに重なっており、二重数えになる。
- 第1象限の円板が象限からはみ出すこと(原点を通る円の弓形2枚が外にある)を見落とし、 型の誤計算をする。
- 弓形の面積公式で中心角を度のまま代入する。 の はラジアン。