数学I / 図形と計量

三角比の定義(直角三角形)

★ 基礎三角比の定義

問題

の直角三角形 において、 である。 の値をそれぞれ求めよ。

ヒントを見る

から見ると、3辺に『斜辺・対辺・隣辺』の役割がつく。斜辺は直角の向かい。残り2辺は『角 の真向かいか、となりか』で見分けられる。まず図で、その3つを区別するところから始めよう。

解答・解説

方針

直角三角形の三角比は、3つの分数で決まる。 の3つだ。まずは言葉で覚える。

から見ると、辺に3つの名前がつく。

  • 斜辺: 直角の向かい。いちばん長い辺。ここでは
  • 対辺: 角 の真向かいの辺。ここでは
  • 隣辺: 角 のとなりの辺(斜辺でないほう)。ここでは

この3つで と決まる。

注意は1つだけ。『対辺』『隣辺』は、どの角から見るかで入れかわる。角 と角 では対辺が別の辺になる。だから は別の値だ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 三角比の定義は、 から見た 辺の呼び名を決めるところから始まる。

  • 斜辺: 直角の向かい()
  • 対辺(向かい合う辺):
  • 隣辺(はさむ辺):

どの角から見るかで、対辺と隣辺が入れ替わる — 角 の話をしているのに角 の対辺を使う、が最頻ミスである。

ABC435
∠C = 90°、AB = 5、BC = 3、CA = 4

直角は 。だから斜辺は向かいの だ。

の位置に立ったつもりで、残り2辺を見分ける。

  • 対辺(角 の真向かい):
  • 隣辺(角 のとなり):
公式三角比の定義

あとは定義の分数に入れるだけ。

もし としたら、角 から見た対辺と取りちがえている。図で『 の向かいはどれ?』を指でさして確かめるとよい。

まとめ:最後に検算。 だから、確かに の直角三角形だ。 も成り立つ。この は、次の問題で主役になる。

発展 — 一歩先へ。 は、辺の長さがすべて整数になる有名な直角三角形(ピタゴラス数)。 も同じ仲間で、問題作りで好んで使われる — が分数できれいに出たら、この三角形を疑ってよい

三角比の値は三角形の大きさによらない でも でも で同じ — 相似な三角形は同じ三角比を持つからだ。だから三角比は「形(角度)だけで決まる量」であり、角度の情報を数値に翻訳する装置として働く。この性質が、測量や物理でこれほど使われる理由である。

別解

対辺・隣辺の取り違えを防ぐ、指差し確認の手順を紹介する。

の三角比を求める → 角 の頂点に指を置く

  1. 斜辺: 直角()の向かい側の辺 — 三角形で最も長い どの角を見ても斜辺は同じ
  2. 対辺: 指を置いた角 から、まっすぐ向かい側の辺 — 。角 触れていない辺だ。
  3. 隣辺: 残り — 。角 に触れている(斜辺以外の)辺。

もし角 で聞かれたら — 対辺と隣辺が入れ替わる。

(直角三角形だから)なので、これは という公式そのものだ。「サイン」と「コサイン」の "co" は complementary(余角)の意味 つの角がペアで補い合っている。

検算は相互関係で。 ✓ — が成り立つ(三平方の定理の言い換え)。

ポイント

  • 『対辺』『隣辺』は見る角で入れかわる。まず斜辺(直角の向かい)を決める
  • で検算できる

よくある間違い

  • と角 の対辺を取りちがえ、 としてしまう
  • の分母を斜辺にしてしまう
  • 図を描かずに定義だけで考え、辺の対応を間違える